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この言葉をよく使う人

「すごい」


「すごい」を多用する人

「すごい」は単純に口癖として使う人もいる。
このケースはそのような口癖のケースではありません。

本当に「すごい」と思いながら、
多用することで本当に「すごい」と思っているのかどうか
よく考えると疑問が残るような場合のことです。


「すごい」を多用する人の心理

「すごい」を使うシチュエーションは、誰かがうまくできたときです。
通常の「すごい」のシチュエーションと変わりません。
ただし、自分以外の誰かが「すごい」という場合であって、
たとえば

「地球は46億歳だよ」
「すごい」

というシチュエーションでは使われません。
あくまで相手、第三者がいることを前提に
自分が感心していることを伝えるために使われる「すごい」というケースです。

「すごい」はもちろん、相手を認め評価し感嘆するために使われます。
これは通常誰もが「すごい」と使う場合と同じです。
しかしこの言葉を多用する人は

相手を常に認めなくてはならない
しかも大きく認めなくてはならない
評価しなくてはならないし、
こちらが感嘆していることを伝えなければならない

という心理が働いています。
これが表面に見える心理状態です。

ではなぜ、いちいち相手を認め、評価し、感嘆していることを伝えなければならないのでしょうか。
これには2つのパターンがあります。

1つは「嫌われてはならない。好かれなければならない」という強迫観念と
もう1つは「私は相手を正当に評価できる人間なんだ」と示すことができない自分を避けるパターンです。

相手のことを過剰に認めなくてはならないのは、
「自分が認めてほしいから」という場合と、
「認めなければ嫌われてしまうことの恐れ」があります。
どちらも同じことを別の角度から示していて、
自分に対する無価値感が根底にあります。
つまり

私は自分が無価値な人間だとは思いたくない。
でもその怖れは十分にある。
しかし信じたくない。
そして人に指摘されたり、思われたりするとおしまいだ。
そうはならないために相手のことを認め、評価して
自分がそういうことができる人だと相手に伝えよう(感嘆)。

という心理の流れがあります。

こういうことを繰り返すほどに、「すごい」をやめてしまうと
たちまちのうちに無防備な自分がばれてしまう(と無意識で思っている)ので
常に「すごい」を多用するようになります。
自分の無価値さを隠すために精一杯となり、
また、「すごい」ということで別に悪いことも起こらないので
その言葉を多用していいという自分に対する許しを出すようになります。


「すごい」を多用する人の傾向

自分の頭で何かを考える癖がなく、
情報や経験、ひどくすると噂や社会基準(学歴など)で判断する傾向があります。
新聞に書いてあったから悪いこと、テレビに出たから偉い人、など
判断基準を自分以外のもの、それも自分以外の人が高い評価を出しているもの
にゆだねる傾向があります。

そのため「何がどのようにすごいのか」ということを説明できないか、
ありきたりの一般論でしか発言することができません。
自分で自分を掘り下げずに、「すごい」という発言でごまかすことを覚えているので
物事を深く追求しないタイプが多いです。
そのため本当にすごいものであっても「何がどうすごいのか」ということを
表現することに長けていません。

自分が認められない、あるべき評価がないと判断したら
その相手を憎む傾向があります。
端から見ると、自分では努力をしていないのに逆恨みするように映ります。
この場合発言内容が正しいか間違っているかは問題ではありません。

自分のことを逆に「すごい」などと評価されると、その相手を重きに置く傾向があります。
無価値感が強ければ、評価をしなくても認知しただけで相手を高評価することもあります。

いずれの場合も、結局は自分に価値判断の基準がないことや
自分では努力しないことがいずればれますので
相手に良識があれば、この言葉を多用する人に違和感を覚え
本当に正当な評価を下すようになります。
そうなると「すごい」を多用する人は、その相手のことを
「思わせぶりにしておきながら裏切った」と心理的に捉え
嫌う(ひどい場合だと憎む)ようになります。

この傾向がある人は、
コミュニケーションの最初と最後が180度異なることがよくあります。

また、基本的に自分がないので
宗教やネットワークビジネス、成功と言う言葉などに踊りやすく、
勢いで「すごい」ものに触れ
そしてその「すごい」ものから認められ、
一瞬にして洗脳されることがよくあります。

自分の頭で考えることができないので
宗教にしてもネットワークビジネスにしても、
まず「すごい。とにかくすごい」などの抽象的な言葉からはじまり、
具体的なことはそれぞれのマニュアルに書かれていることか
誰か(上の人)に教えてもらったことを復誦することしかできません。

このタイプは、根底に自分が認められないことの恐れがあるので
自分がそうやって強く信じたもの(宗教、ネットワークビジネス)が認められなければ
相手を批判したり攻撃したりする、
いわゆる正当化と責任転嫁を行うことがよくあります。


「すごい」を多用する人との付き合い方

「すごい」を多用する人とは距離のとり方が大切です。
あなたがもし熟考するタイプなら距離は大きく取った方がいいでしょう。
あなたが優しい人間なら、相手を認めれば認めるほど無理が生じるので
適度に話を聞いた上で

「あなたならどう感じる?」

など、感情を起点にして相手の考えを自分で表現させるのが好ましいでしょう。

ただし、この言葉を多用する人が
既にパワーのある人の信者になっていたり、妄信的に何かを信じているときは
こういう行動は無駄に終わります。
逆に説得すらされる可能性があります。

自分の特性と、相手の今の状態によって距離の取り方を気にする方が現実的です。

このタイプが上司なら
相手が「すごい」と発言する内容のものを否定しないことです。
かといって肯定もしてはいけません。
否定すると怨みに思われ、肯定すると仲間に引き込もうとします。
いつまでも慎重な態度だと優柔不断でどっちつかずとも思われます。

仕事以外の趣味などの話なら、興味がないジャンルで今後も興味が湧くことはない
という態度をはっきりと示し、
「そんなもんですかね。(関係ないので)全然わからないです」と
違う次元に存在するということをそれとなく伝えるようにします。

仕事に関係することなら、
ある程度は肯定しながら別の方法でうまくいったことを取り入れたり、
相手を否定せず、状況が合わないことをそれとなく主張したり
うまく行かない場合は「言われたとおりにやったけどうまく行かないのはおかしい。きっと別のところに原因があるはずだ」というようなスタイルを取った方が無難です。
相手を否定、批判したり、相手に学習を求めると一気に関係は悪化します。

このタイプが部下なら、
なるべく苦手な仕事はさせないことです。
不得手になればなるほど、自分には「なにもない」という現実(と思っていること)を直視しなくてはならなくなるので悪循環に陥ります。
かといって得意なことだけに集中させると増長し、
努力で成果を出すことだけに集中させると
成長してから部下に努力を強いるようになります。

個人の裁量ではなく、なるべく会社の基準によって仕事を任せたり、
チームを組んでパフォーマンスを上げる方法を取るのが無難です。

このタイプが恋人の場合は
あまりに相手の判断基準に納得が行かない場合は
(「すごい」が耳についてしょうがなくなったときなど)
別れた方がいいでしょう。

このタイプ同士だと、外からどう見えるかはともかく関係はうまくいくこともよくあります。

表面ではなく、なるべくその人が持つオリジナリティの中で
相手も理解している自分らしい自分を機軸にして
何か行動したり、話題にしたり、
発見して教えてあげるような工夫をした方がストレスは軽減されるはずです。


「すごい」の多用を変える

「すごい」の多用は、根底に

自分がないこと
自分がないということがばれてはいけないこと

があります。
これまで「すごい」と言えば(自分にとって)あまり好ましくない状況を
乗り越えることができると学習してきているので、
その癖を止める必要があります。

言葉を変えるなら
「すごい」と発言するのではなく
「どんなふうになっているの?」「もっと詳しく教えて」など
『興味』を示す言葉を使うようにします。

根本的に変えたいのなら
自分が持っている「すごい」こと、強みや才能を探します。
友達に聞いてもいいですし、過去の仕事で人よりうまくできたことを
書き出してみても構いません。(人に評価されたかどうかは関係ない)

どうしても「すごい」と発言してしまうし、
自動的にそうなってしまうのなら
たとえば「すごい」の後に「何が?」と相手に投げかけてみます。
本当にはなにが「すごい」のかを知るようにしてみます。

あるいは、「それは」をつけて「それはすごい」という口癖にしてみます。
「それは」をつけるだけで、物事を特定して内容まで理解している表現になります。
少なくとも無条件の評価や感嘆を相手に伝えることをセーブしてくれます。
ただし、これはどうしてもの場合なので
やってみるにしても最初だけにして、やはり何がどうすごいのか
自分でよく考える習慣を身につけた方がいいでしょう。

その日「すごい」を連発した物事を書きとめて
家に帰ってから「実は何がどうすごかったのか」ということを考えてみるようにします。
習慣化されると自然と「すごい」の多用は減るでしょう。

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