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自己啓発が成功しない10の理由

「80対20の法則」が成功しない理由


小さなものが大きく複雑なものを作り上げる

生物化学の分野ではポジティブフィードバックという考え方が、科学では収獲逓増という考え方があります。
どちらも小さなものが大きなものを作る、という基本的な考え方です。
大きくなるにつれて、小さな一要因が思いもかけない方向へと複雑化することがあります。

たとえば、人体は60兆の細胞から成っていますが、原始的な生命は単細胞(1つの細胞)です。
進化の過程で人体はより複雑化して今の状態があるわけです。

さて、「成人の人体の7割は水である」ということを聞いたことがある人もいるのではないかと思います。
ここで考えてみてください。
血液、リンパ液、脳髄液と細胞に含まれる水分を用意すれば人体を作ることは可能でしょうか?

あるいは、頭は体の20%(以下)を占め、80%(以上)の感覚器(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、感覚)が集まっていますが、頭があれば人間ができあがりますか?

小さなものが大きく複雑なものを作り上げる世界では、要点やポイントなどはありません。全てが整ってはじめて成果を出すことができるのです。


 

パレートは「80%の成果を出す20%を行えばいい」とは言っていない?

パレートの法則と呼ばれるものは経済社会における富の偏在(2割の高額所得者のもとに社会全体の8割の富が集中し、残りの2割の富が8割の低所得者に配分される)を明らかにしたもので、実は「だから2割に集中すればいい」などとは一言も言っていません。

物事にはばらつきがあり、必ず平均的になっているわけではないということを、自己啓発を取り入れる人が「パレートの法則」「80:20の法則」の名前を借りて、「だから2割に集中しなくてはならない」と言っているだけなのです。

自然現象や社会現象で、物事が集中する部分というのはあります。
しかしだからといって、物事を集中する部分に力を入れれば自分が望む成果の80%を得ることができるという考え方は少しご都合主義です。

なぜなら、成果は様々な要因が重なった結果生まれるのであって、最初から80対20に分かれるために生まれたのではないからです。


 

日露戦争の名参謀、秋山真之の出生コース

正岡子規とも交流があり、日露戦争で参謀として海軍を勝利に導いた秋山真之は、学生の頃テストで必ず秀逸な点を取っていました。
テストで出題されるところは教授の性格や過去の傾向から十分に予測できるので、そこさえ抑えておけばいい点が取れると言ったそうです。
20%に集中する方法を彼は使いこなしていました。

しかしその後、海軍に入ってからの秋山真之は地道な訓練とひとつひとつの成果を積み上げています。
見聞で要点を見つけるのではなく、アメリカに出かけていってまで学んでいます。
出世と日露戦争での勝利に結びつく過程は(つまり成果を出す過程)、着実に一歩ずつ歩んでいたことがわかっています。

このことから「80対20」がうまく機能するのは、物事の傾向が決まっている場合に限られることがわかります。
たとえば運転免許証を取るためのテストを受ける場合などです。


 

成果を出す人は80%で満足できない

自己啓発では第3世代のNLPをはじめとする心理学でも、効率効果のために自己啓発が伝えられる傾向は変わりません。

「80対20」もこれまでの自己啓発スキル同様、うまくできなかった人(BAD)にとってはうまくできるようになる(GOOD)方法です。
しかし、例に漏れず「だから成功する」など言うことはありません。

成功者と呼ばれるような人をよく観察してみてください。

カーネル・サンダースはフライドチキンをフランチャイズ化するために、2000もの飲食店に営業をしています。
エジソンはフィラメントの素材を探すために12000回実験を繰り返し、リンカーンは51歳で大統領に当選するまで、生涯で9回も選挙に落ちています。

人生の成果に20%の要点という効率はない、ということがわかります。

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