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人を訪ねて三千里

お客はどこにいるのか? 2/2

お客はポータルにもいる。
ポータルというのはネット上のポータルサイトのことではなく、新聞やテレビなどマスに向かって情報発信する媒体である。だからyahooなども含まれるし、交通量の多い道路の看板広告にも同じ意味がある。
このポータルは、お客になる人もお客にならない人も、ごちゃ混ぜで大量の人を抱えるという特徴がある。
「たくさん人がいるのだからその中の一部は必ずお客になるだろう」 という考え方をする。そして一部は必ずお客になる。多くの人が集まるところにお客はいる。

ただ、多くの人の中にどのくらいがお客になるのかは扱う商品によって変わってくる。
例えばチョコレートや化粧品を扱うのなら、ほとんどの人が割と定期的に利用するということがわかっているので、ポータルへのアプローチは確実性が高い。営業が成立する%(反応率)が高まる。
反対に、カリフォルニアロール専門店や行政書士はそれを必要とする人の数が少ない。少なくともチョコレートや化粧品よりもはるかに少ない。ということは多くの人にアプローチしても、営業が成立する確率は自ずと低くなる

だからポータルへアプローチする営業は多くの場合、大掛かりな広告を打つことが営業活動になる。多数の人に訴えかけ、そのうちの数%に「~してもらう」ように働きかける。そして実際に一定%の人が「~する」ようになって確率的に営業が成立する。

ポータルの反対に位置するのが人の紹介による営業である。
営業活動を行う相手(の数)が限定されている。広告のように要点を抑え、見栄えを良くしたものが相手に訴えかけるのではなく、人の信頼関係が紹介営業を可能にする。
扱う物もポータルとは反対に、特殊な商品やわかりにくいサービス、そもそも利用者が少ないものの営業に適している。カリフォルニアロール専門店や行政書士もそうだが、コンサルティング、健康関連商材、HP作成などは紹介による営業が成立しやすい。

口コミも紹介の中に含まれるが、自然発生的な口コミは期待できない。そもそもお客の母数と、それを必要としている潜在客の数が少ないからである。
営業活動としての口コミは、営業を行う側がどこかのポイントやタイミングで「紹介してください」「声をかけてください」 「~してもらう」ことからはじまる。
一対一からはじまる営業なので、最初から数の論理を当てはめることは難しいが、口コミのしかけを含む営業が軌道に乗ると、人の先にいるお客へたどり着くことができるようになる。お客は人の先にいる。

「お客は誰か」をしっかりと持っていなければ、お客へのアプローチが失敗してしまう。
お客が誰なのかがしっかりと定まっていれば、そのお客がいる場所に営業することができる。これが、営業活動の方法(例えばPRの打ち方、テレアポの取り方)などからはじまってしまうと、そもそもお客がいないところにアプローチしてしまうという意味で、営業が失敗する。

私が知るある料理研究家は、ポータルに対してアプローチをした。結果営業が全く成立しなかった。知名度のあるサイトに特集を組んでもらい、雑誌にも掲載された。PRを積極的にメディアに送信した。しかし、それではお客が増えなかった。
その料理研究家は料理を教えることを仕事にしており、お客はセレブ、元スチュワーデス、お金持ちの奥様だった。彼女たちはポータルの中に存在するとしても少数で、ましてポータルの情報をそのまま利用する一般層ではなかった。
彼女たちはセレブが利用する他のサービスにいたし、既にお客になっているセレブの向こう側にいる友人・知人というところにいた。この料理研究家の場合は、まず自分の持つ顧客との人間関係から紹介による営業活動を行う方が有利だった。そしてセレブが使う他のサービスを観察なり研究して、アプローチする方法を考える必要があった。

営業は「自分が良い・正しいことを基準」にするという意味で出発点は自分にあるが、「~してもらう」「関係が生まれてはじめて成立する」という意味で主体性はお客にある。

お客が何をどのように考えて、どこにいるのかということを中心にしてはじめて営業は成立する。お客が「~してくれる」ようになり、お客との「関係」が生まれる。

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