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プロセスの対策 - 接客

サービスの枠を超える作業


基本的なサービスを正しく理解してそれを提供できるようになり、問題に対して正確に対応できるようになったら、サービスの枠を超える接客を行う。

それはルールやマニュアルに反した行為で、本来の正しいサービス提供ではない物事である。
しかし、行わなくてはならないケースが3つある。

基本サービス提供の不備を取り戻すとき。
初めてサービスを受ける人に対応する場合。
特別利用者に対してサービスを提供する場合の3つのケースで、接客者はサービスの枠を超える。

基本サービス提供の不備を取り戻す

基本サービスが、何らかの理由で不適切に提供された場合。
それはサービスがうまく機能しなかったと言える。
その不備を取り戻すため、接客がサービスの枠を超えることがある。

たとえば飲食店で注文したものとは異なる料理が提供され、作り直しに時間がかかったとする。
サービスは提供されたが、最初から正しく提供されたとはいえない。
このような場合に接客者が、デザートを無料で提供するとする。

デザートの無料提供は、決まったものを提供するというサービスの原則から考えると正しくない。
約束していないものを提供することにもなってしまう。
他の利用者から見ると、サービス提供上の差別に映る場合もある。

しかし、接客は正しくサービスが提供されなかったことの埋め合わせとして、サービスの枠を超えデザートを無料で提供する場合がある。

サービスの不備に対する埋め合わせを行うことで、生まれたミスが問題になる前に対応するのがこのケースである。
言うまでもなく、このようなケースは起こらないに越したことはない。

しかし起こってしまったら、より大きな問題の発生を防ぐためにサービスの枠を越えなくてはならない。
こうして不備を取り戻さなければ、基本サービスの提供が滞り、サービスに対するお客の信頼が下がり、結果としてサービスが上手く機能しなくなることがある。

ただし接客者は、このような方法を行うことがサービスの約束や公平性に反していることを理解しておく必要がある。
問題を回避できたことを成功例としてはならない。
まして、マニュアルに記載することで、ルール化してはならない。

はじめてサービスを受ける人に対応する

はじめてサービスを受ける人は、サービスも商品も、接客者のことも、そしておそらくサービス提供者についても詳しくない。
彼らはサービス利用以前の問題として、不安を抱えている。
不安は取り除かれなければならない。

そうでなければ本当はサービス提供を必要としているのに、不安のためにサービス提供を諦めるかもしれない。
または不安を抱えたまま利用するサービスは、正しく提供されたとしてもお客の効用を満たさないかもしれない。
安心してサービスを受けることができるように、接客によって対応する必要がある。

たとえば、レーシックという技術で視力を回復させたいと考えている人がいる。
しかし、目にレーザー光を照射するということに不安を覚えている人もいる。
その不安はサービスの利用を諦める原因になる。

このようなはじめての利用者に対して、説明会を行い、機具を見せ説明し、実例を紹介し、病院のクリーンさとドクターの人間性を紹介することは、最初のサービス利用者にだけ提供される。
提供の際に、接客者は様々な質問に答え、安心してもらうためにマニュアルでは決まっていない行動を行うことがある。
視力の回復という基本サービスはまだ提供されていないものの、トータルサービスの一環として初回の利用者だけにこのような接客が提供される。

英会話スクールなど、習い事の体験レッスンも初回の利用者に提供される。
習い事をはじめる不安を解消するために、接客者は実際のサービス提供時には行わないフォローを行うことや、悩みを聞くことがあるかもしれない。
はじめてのサービスを受ける人にのみ、サービスの枠を超えて接客が特別な対応を行うことがある。
その目的は不安の解消と安心してもらうことにある。

特別利用者に対してサービスを提供する場合

特別利用者、つまり常連や高頻度利用者に対しては、接客がしくみの枠を超えて対応しなくてはならない。
対応する場合があるのではなく、対応しなくてはならない。

理由は2つある。

ひとつは、特別利用者は基本サービスプラス良質な接客が、イコール彼らにとっての基本サービスになっているという現実である。
もはやマニュアル通りの正しいサービス提供と、それを行うことができるレベルの接客者対応では、正確にサービスを提供することができない。
通常レベル以上の対応を提供することで、サービスの継続利用を停止することを避ける。
これによって、サービスが機能しなくなることを防ぐ。

もうひとつの理由は、他の一般利用者に正しくサービスを提供するためである。
常連や高頻度利用者が存在するというだけで、その他の利用者にとっては、疎外感や村八分感を感じることがある。
サービス利用時に居心地の悪さ感じる。
疎外感や居心地の悪さは、サービス利用の拒絶につながる。
接客者が特別利用者をそれとなく別室に案内したりするのは、何も特別利用者のためだけではなく、一般利用者の心理的不安を取り除き、彼らを守るためでもある。
不公平とされることを効果的に実行することで、逆に利用者とサービス利用を守り、サービスが機能しなくなることを防ぐ。

これらサービスの枠を超える作業は全て、コンセプトに適い、広い意味で基本サービスを守るために行われる。

逆に、接客がサービスの枠を超えていけない場合が3つある。

 クレーム対応で行ってはならない。
 全く別の事情で困っている人を助けるという理由で行ってはならない。
 顧客満足のために行ってはならない。

クレーム対応は基本的にしくみの対処と、接客の対応で解決する。
サービスの枠を超えなければクレームを解決できないということは、しくみと接客が完璧ではないということである。

サービスではない別の事情で困っている人を助けるのは、助けるのにふさわしい人に任せなくてはならない。
その人を助けることによって、提供されるべきサービスが滞ってしまってはならない。
助けるのにふさわしい人やサービス提供者を伝える努力によって対応するようにする。

顧客満足については既に示したとおり、画一的で統一的な基本サービスを公平に提供するために避ける。
接客者によって提供するサービスに不統一感が生じることを防ぐためである。

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