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サービスの選別

サービスを受ける技術3と4


まず、私たちは強い不快感を受ける接客を受けることがある。
この場合は、サービスから受ける効用と不快感を天秤の両端に乗せ、もしも不快感の方が重ければサービス利用をやめた方がいい。
これはここで示されるまでもなく、既に皆さんが行っていることだと思う。

ここで考えるべき接客は2つある。

ひとつ目はマザーテレサの接客で、私たちは私たちのことをよく考えてくれる接客者のサービスを評価してしまいがちだが、それを鵜呑みにすると別の機会にサービスを適切に提供されなくなることがある。
マザーテレサの接客を見分ける方法は2つあり、ひとつはサービスの決まりというよりは、接客者個人の良かれと思う感情で接客を受けているかどうかを見ること。

もうひとつは、良いと感じる接客者と、悪いと感じる接客者の対応差が激しい場合である。
「担当が○○さんでないと不満だ」と感じるサービスは、接客に統一性を求めず、したがってサービスが公平に提供されていない可能性が高い。
気分良くサービスを受けるのは構わないが、サービス全体は遠くない将来、利用できないほど崩れる恐れがある。

ふたつ目は森のくまさんの接客で、これも私たちの喜び度を引き上げてくれる。
しかし内実は喜びを生み出すためにサービスの全体像を明らかにしないウソを交えるなど、たとえ喜びが生まれても、そのような人は人として信頼することはできない。

目的のために信頼を損ねてまでも結果を目指すサービスの継続利用は、長い目で見ると危ない。
なぜなら、サービス事業者自身がそのような決まりごとを推進しているということであり、接客意外にもいろいろとしかけが組み込まれているかもしれないからである。
たとえばおまけや割引などのお得感は、一瞬嬉しい気持ちになるかもしれないが、サービスの効用が満たされることを保証してくれない。
いい気分になるためにサービスを利用し、効用が満たされないのでは本末転倒である。

このような接客とサービスは、接客者の発言と実行動のサービスという「約束」が守られているかどうかに注目することで判別できる。
あるいは、サービス提供以前にお客の気分を下げるような行為があるかどうか、約束が控えめではないかということに注目すれば見分けることができる。

マザーテレサの接客と森のくまさんの接客を見極めることができたら、サービスは客観的に眺めながら必要なところは利用し、サービスの効用に問題が出てきたときは代替になる他のサービスを早めに探すようにした方がいい。
接客者の対応にいい気分になって、サービス力の低下に付き合っていると、結局はお金も時間も無駄にしてしまうことになる。

サービスを受ける技術4 良い接客を見極める

新幹線の添乗販売員のような、ある意味地味な接客者を見極めることはなかなか難しい。
そのような接客者は準備と不備の解消に力を入れているからだ。
準備と不備の解消は目に見えにくい。
準備というのはあらかじめお客が求めるものを用意しておくことで、お客の側はそれを当たり前だと考えるので心理的に見つけにくい。

不備の解消というのは、接客者が不満や満足などの喜び度合いを基準にせず、お客の物理的な不備を解消することに力を入れることである。
たとえば、ガソリンスタンドで給油することは、ガソリンがなくて困っているお客の不備を必ず解消するが、ガソリンがないことによるお客の不満を解消するとは限らない。
お客の中には、ガソリンが早くなくなることに不満を持っている人がいるかもしれない。
このような不満はガソリンが物理的に満タンになっても解消されない。
不備の解消もお客視点では当たり前のことにすぎないので、見分けがつきにくい。

では一体、本当に良い接客はどのように見分けることができるのだろうか。
ある素晴らしい接客を行うスチュワーデスがこのような方法を教えてくれた。
それは接客者に質問するという単純な方法なのだが、質問内容に工夫があった。

スチュワーデスに質問する前提で、私たちは今、お客として飛行機に乗りニューヨークに向かっているとする。
そこでたとえば、ニューヨークに着いてから市内への交通手段を尋ねてみる。
ここで接客者の質を露にする3つのケースが生まれる。

ひとつは「わかりません」「知りません」などの拒絶の態度。
ふたつ目は「聞いてまいりますので少々お待ちください」などの、前向きでありながら不足のある対応。
みっつ目は答えを導き出してくれる接客である。
このみっつ目の接客が良い接客であるのには理由がある。

それはみっつ目の答えから、「準備」「不備の解消」を行っていることが読み取れるからだ。
空港から市内への交通を知っているかどうかは、厳密にいえばスチュワーデスの仕事ではない。
しかし、少し考えてみればお客のニーズが高く、知りたい人がいるだろうということは容易に想像がつく。
このような、直接の仕事には関係ないが、必要性の高い物事への質問を周辺業務の質問という。

あらかじめ準備をすることで仕事に臨み、その基準をお客の不備の解消に置いている接客者は、私たちが投げかける周辺業務への質問に答えることができる。
このような接客者に支えられたサービスは信頼性が高いだけではなく、効用を検証したり、何かを疑ったりせずにただ安心してサービスを利用することができる。

サービスの決まりごとへの注目も有効

サービスを上手く利用するために、接客者自身を見分けなくてもいい方法もある。
それには、サービス事業者が接客者に何をルール化しているかを見るといい。

たとえば単純作業であり、お客と接する時間の短い高速道路の料金所では、お金と領収書の交換だけが接客者の仕事になっている。
あるいは、コンビニやファミリーレストランで会計をした際に「ありがとうございました。またおこしくださいませ」と画一的なあいさつを受けることがある。
特にこのマニュアルのあいさつは否定的な意見も多く聞かれるが、それはさておき、ここではサービス提供者が接客者に何をルール化しているかを仕事内容や、発言内容から見極めることができることに注目してほしい。

画一的な接客は、それを行えばサービスが滞りなく提供されるために統一されていることが多い。
高速道路の料金所では、お客に対して個別のニーズに応えるような対応を必要とされない。
ただ料金支払いを処理していれば滞りなくサービスが提供される。

あいさつをマニュアル化しているコンビニやファミリーレストランでも、やはり滞りなく提供するためにサービスを統一しているのだが、こちらはその基準に失敗の回避がプログラムされていることが多い。
あいさつがばらばらであること、いいあいさつをする人とそうでない人の差を生まないこと、あいさつをしないという不備を避けること、などがマニュアルによってプログラムされている。
このようなサービスでは、接客者の質がどうであるかを明らかにするよりも、接客に多くを求めず、効用が満たされるかどうかに集中した方が効率がいい。
サービスがそのように作られているからである。

接客を見極めるウラ技

大体どのようなサービスであるか、どのような感じの接客を受けることになりそうか、あらかじめ検討をつけることができるウラ技がある。
それは求人情報を「読む」ことである。

年中求人を行い、かつアルバイトに頼るサービスでは、仕組みによって接客を管理する可能性が高い。
ファーストフードなど飲食店によく見られる。
このようなサービスを利用する時は、効用を第一に考えるようにしたい。

ホームページの求人欄もヒントになる。
単純な案内や条件だけを示している事業者は単純な仕事を求めていることが多い。
具体的に詳しく書いている場合や、特に「このような方はお断り」などの基準を明確にしているサービスでは、接客者にある一定の対応力を求めていると考えられる。

また、接客でも技術や資格を必要とするものがあり、たとえばスチュワーデスのような専門職は、関門も狭く、入社後の研修もハードであることがわかっているので、良い接客を期待できる可能性が高くなる。

逆に、人材募集に力を入れていないことが明らかであるのに、実際に接客を受けてみると素晴らしかったという体験をした場合は、マザーテレサの接客と森のくまさんの接客を疑ってみた方がいい。

求人情報は、接客者の質やサービスの状態などを裏側から読み取るツールになる。インターネットでお店やサービスの情報を調べることがあれば、もうひと手間かけて求人情報を読み取っておくと、およその接客像を浮き彫りにすることができる。

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