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賢い利用法

サービスを受ける技術6 効用が合う人だけを紹介する

サービスには、そのサービスを受けるべきターゲット顧客が必ずいる。
たとえば障害者と高齢者をターゲットにした旅行社がこれに当てはまる。
この旅行社では障害者、高齢者以外のお客も快く受け入れているが、もし私たちが誰か別の人をお客として紹介するのであれば、旅行社が想定している障害者と高齢者だけに絞ることが望ましい。

なぜなら、その方がサービス提供者はスムーズにサービスを提供できるし、紹介されたお客も効用が合っているので満足してもらえるからだ。
しかしより重要なことは、クレームが出そうな状態や、接客者の気分を害する可能性を減らすことにある。

クレームの発生や接客力の低下は、ただでさえ小さなサービス事業者の時間を奪い、レベルを落とすことにつながる。
こうなってしまっては、自分がサービスを受けるときに問題が出てしまう。
しかしそれだけではない。
効用が合う人を紹介することで、私たちはサービス事業者から一目置かれることになる。
サービスを活性化させることにも、事業運営に必要な売上にも貢献するからだ。
しかも、私たちが維持しておきたいサービスがそれによって壊れることはない。

私の自宅近所のカフェであれば、たとえば犬を飼っている人に紹介する。
犬を連れてカフェに行くと飼い主はマナーに気を配るし、犬好きはやはり犬が好きなので不快感はない。
これによって、そうそうカフェの雰囲気が壊れることはない。
しかもそれはお店側のコンセプトにも適っている。

口コミのメカニズムを知っておく

通常、口コミは自然発生しない。
多くの人は口コミを「サービスが良ければそれを人に伝えたくなる。多くの人がそう思えば急速に広まる」などを考えているが、これは間違いである。
口コミはブランド、つまりお客のサービスコンセプト理解からはじまる。
お客がサービスのコンセプトを理解するためには、誰かが正確にそれを伝えなくてはならない。
その役割を果たすのは通常接客者である。

なぜ、どのような理由で、どんな目的を持って私たちはサービスを提供しているのかということを接客者が伝え、お客が共感することが出発点になる。
さらに、お客がそれを人に伝えたいと思い、行動しなくてはならない。

しかし口コミにもそれを成功させる人とあまり効果を上げない人がいる。
成功させるためにはまず、コネクターと呼ばれる「広大で浅い人間関係」を持っている人を介さなくてはならないことが証明されている。
そしてメイヴンと呼ばれる「口コミ情報に知識などで裏づけや力強さを加える人」と、セールスマンと呼ばれる「人の背中を押して行動させることが上手い人」によって広まる。

小規模サービスでは接客者がコンセプトを伝えることは問題なく行える。
私たちもコンセプトを正しく理解して、そのサービスを必要としている人に伝えることはできる。

しかも最初から効用の合う人にだけしか紹介しないつもりなので、コネクターと呼ばれる「広大で浅い人間関係」は必要ない。
問題になるとすれば「口コミ情報に知識などで裏づけや力強さを加える」ことと「人の背中を押して行動させることが上手いこと」である。
しかし私たちには紹介する義務があるわけではないから、せめてそのサービスを本当に必要としている人がいるのであれば、誠実に情報を与える程度のことは行いたいところだ。

もしあなたがメイヴンやセールスマンのタイプなのであれば、少し骨を折って口コミを発生させるといいだろう。
「○○さん(あなたの名前)の紹介」でサービスを利用する良質なお客が増えると、特に小規模サービス事業者にとってはこの上なくありがたいのだ。
そしてこのことはあなたを特別客の位置に引き上げる可能性がある。

特別客とは何か

特別客というのは、文字通りそのサービスにとって一般のお客とは一線を画す特別なお客のことで、通常は購買額や利用回数によってVIPなどと位置づけられる。

たとえばデパートでは、年間購買額によって買い物時に専属販売員がついたり特別に駐車場を確保したりすることがある。

しかし小規模サービスでは、サービスコンセプトを正しく理解してくれていることが特別客の入口になる。
そのために決まった条件などはないが、サービス提供者が最もしてほしいと感じていることをお客が進んで行うと、サービス提供者にとってそのお客は特別客の位置づけになる。

たとえば口コミしてほしいと考えているサービス提供者はそれをありがたいと思うだろうし、サービス上のアドバイスを忠実に実践してくれることに価値を見出すサービス提供者であれば、それを守ってくれ、継続的に行ってくれることに意味を感じるだろう。

特別客になるメリットもサービスによって様々だが、特に小規模サービスでは、対人関係が近い傾向にあるので、予約の優先、順番の優遇、限定販売品の購入意思の確認、値引きなどを都合してくれる可能性はある。

しかしお客としてサービス利用する上での最も大きなメリットは、やはり安心して利用することができるということに尽きる。
効用は必ず満たしてくれるだろうし、万が一問題が生じれば速やかに対応してくれる。
不安や心配をする必要もないという前提を持つことは賢い利用法である。

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