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ブランドの対策

メディア戦略の不備対策2


ブランドを重視しながらコンセプトを無視する場合

マーケティング担当の理解によってブランドが正しく認識されても、コンセプトが軽視されたり無視されたりすることで、ブランドに悪影響が生じることがある。

マーケティングによってブランドが正しく伝えられることは、喜ばしいことであるばかりでなく、サービスの継続提供に不可欠である。
しかし現在のブランドを強化し、促進する作業だけを中心に活動すると、サービスのあるべき姿はいつまでもお客に理解されないままとなる。

接客者がお客に対して、まだ正確に理解されていないコンセプトを理解してもらうよう働きかけを行うように、マーケティングにおいても、知られるべきでありながら未だに正しく理解されていないコンセプトを理解してもらうよう働きかけなくてはならない。

コンセプトのサービスへの反映は、いくつかの複合的な組み合わせによって現われる。
だからこそ、世の中に似たサービスがあっても同じサービスはない。
その複合的な要素の中でも重要な部分、重要なコンセプトをお客に理解してもらうよう働きかけることで、ブランドは強化される。

この役割と作業を行わず、既に確立されたブランドの保守にこだわるマーケティングを行ったら、サービスはお客に飽きられることで上手く機能しなくなる。

サービスは基本的に画一的で統一的である。
確実性がある反面、面白みに欠ける。
だからといって、今日と明日で違う内容のサービスを提供してはサービスの信頼が失われる。
サービスは画一的であるが、しかし画一的であることによって飽きられることはない。

サービスが飽きられるのは、お客がサービスのことを知り尽くしたと錯覚し、コンセプトの反映が終わってしまっていることに対して魅力を感じなくなるからである。

たとえばシャネルの「女性の解放」というコンセプトは、創業時期の女性を圧迫する服の解放が達成されても、テーマとしては永遠に継続される。
毎年「今私達が考えている、女性の服の解放はこういうことです」というコンセプトを追求し続けることができる。
それを毎年2シーズンの新作に形として落とし込むことができる。

これはチャレンジすることを指すわけでも、新商品を開発し販売することを指すわけでもない。
いくらチャレンジしても、新商品を開発しても、お客は「なんとなく」感覚で飽きることがある。
大切なのは、コンセプトの反映を繰り返し続けるということであり、まだ知られておらず、知られるべきコンセプトを正確に理解してもらうことである。

マーケティングが既存のブランドに執着し、他のコンセプトを反映する実作業に注目せず、それによってサービスが上手く機能しなくなるとき、そのサービスはお客に飽きられている可能性がある。

サービス担当者は、次に知ってもらうべきコンセプトと成果は何であるかをマーケティング担当者に伝え、情報発信してもらわなくてはならない。

伝達手段としての適切でない媒体を使うとき

これまで、第一にマーケティングのイメージ先行、第二にブランドが正確に理解されない場合、第三にブランドは重視しながら、コンセプトを無視(軽視)する場合を見た。
生じるブランド力の低下と、サービスが上手く機能しなくなる場合の対策を示してきた。

これらは、マーケティングの原因でありながら事業全体の問題でもあり、かつサービスのマーケティングに対するコミュニケーションによっても解決すべき問題でもあった。

しかしこの、第四の「伝達手段としての適切でない媒体を使うとき」のみ、サービスができることはほとんど何もない。
できることは確認し提案することだけである。
しかし、サービスへの悪影響に直接関わることでもあり、必ず確認し提案しなくてはならない。

ブランドイメージを構築するための媒体は、広告媒体だけではなく情報を発信する全てのツールやマテリアルに関係する。
広告媒体であれば、CM、雑誌の広告スペース、インターネットの広告、チラシ、資料などがあるが、それぞれひとつひとつが、ブランドイメージを促進するのか、低下させるのか、維持するのか、破壊するのかを検討し展開する必要がある。

たとえば、高級ファッションブランドは無料ティッシュの裏に広告を挟み込み、街頭で配る方法を行わない。
多店舗展開のラーメンチェーン店はビジネス雑誌に広告を載せない。
使う媒体を間違うことでブランドに対する信頼が薄れ、それによってサービスに悪影響を及ぼすことがある。

ツールやマテリアルは、会社案内、ホームページ、営業の資料から、便箋・封筒、名刺など細かいものにまで及ぶ。
店舗であれば紙袋なども情報を発信するツールとなる。
これらのツールもコンセプトに則っていることはもちろんだが、ブランドを維持するか、できれば促進するように工夫されている必要がある。

媒体とツールに、ブランドを低下させる要因があるかどうかを確認する作業がサービスの役割になる。
確認された媒体とツールにブランド低下の原因がある場合、代案と共に提案を行う。
媒体に問題がありながら、その媒体を停止してしまうと集客や販売に問題が生じる場合は、マーケティングまたはマネジメントのミーティングで解決方法を導いてもらうよう提案する。

いずれの場合にしても、サービスの行うべき役割はブランドを維持し促進することにある。
少なくとも、低下し崩壊しない方法を考え提案することを避けることはできない。

サービスが上手く機能しないという状態は起こり得る。
それも容易に起こり得る。

その問題を解決することはできる。
ただ、解決しようとしないことでサービスが上手く機能しなくなり、最後には全く機能しなくなる。

このトピックスで示してきた、外的要因である環境適応、内的要因のしくみと接客の改善、内的要因と外的要因に関係するブランドの改善は、どれも組織内で形にするには時間がかかり、緊急のことではない。
しかしだからこそ、サービスの継続提供に最も必要とされ、しかも唯一の生存条件となる。

危機はすぐに表面化しない。
最初は徐々に進行し、気がついた頃には手の施しようがないというのが危機である。
成人病である癌などと相違ない。
心理的にも危機を認めたくない気持ちが働く。
「これまでこの方法で乗り越えてきた。そして上手く行ってきた。焦らずにこれまでうまくいった方法を精一杯やろう」という状態になっていたとしたらサービスは終わる。

不摂生をしているにもかかわらず、これまで健康だったからこれからも健康に違いない、ということと限りなく同じことを行っていることになる。

このトピックスで示したことは、危機管理という治療方法でありながら、実はサービスのしくみに取り入れ、定期的なルールに従って見直すことでサービスを促進させる予防方法でもある。

優秀な弁護士が関係する法律と判例をくまなく理解し、起こり得るケースを想定して問題に対応するように、優秀なサービスもあらかじめ起こり得る問題の原因と対策を知り、定期的に先手を打つことで問題が発生しない状態を作る。

これが継続的に上手く機能するサービスの条件である。

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