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Step2. 基本サービスを形作る

基本サービスの治療

基本サービスは複雑なものではない。
とてもシンプルなものである。
しかしシンプルであるからこそ、その重要性が高く、完璧に作られ、提供されなくてはならない。

それだけに、一度不完全な状態で基本サービスを提供すると、信用を取り戻したり、新しい基本サービスに生まれ変わらせたりするには、相当の時間と、手間と、コストを必要とする。
サービスが上手く機能していないという事実に直面したとき、行うことができる治療はいくつかある。
しかしどれも万能薬ではない。

まずコンセプトを固め直すという方法がある。
コンセプトが固まっていないとサービスの足元がいつまでも安定しない。
そして次に、基本サービスを提供するのにふさわしいハードを整える。
この2つはこれまでに見てきたとおりの基礎である。

コンセプトとハードが好ましい状態にあるにもかかわらず、基本サービスがうまく機能しないときは、コンセプトに基本サービスが合っていないか、もしくはハードに基本サービスが合っていない可能性がある。
これについても何度か触れてきた。

コンセプトが「体と心に優しい空間の提供」で、基本サービスが「生活習慣に合った動線と、バリアフリーの提供」であるはずであるのに、実際に提供しているものが「お客の話を聞いてアドバイスを行うコンサルティング」になってしまっているとサービスはうまく機能しなくなる。

また、完璧なウエスタン風のお店で、一流の料理人が腕を振るった中華を食べてもらうというようなミスマッチはサービスをうまく機能させなくなる。
コンセプトとハードの、それぞれに合ったサービスを作らないといけない。

コンセプト・ハードの問題とは別に、基本サービスの前提が失敗していることもある。
基本サービスはシンプルである必要がある。

法人向けのサービスであれば「あなたの会社の経理を代行します」や、「インターネットSEOによってgoogle20位以内をキープします」などのように、一見して理解できるものでなくてはならない。

個人向けサービスはもっとシンプルで、「タクシーで移動」「ファーストフードで食事をする」など、一見して利用目的がわかる。

基本サービスの前提が間違ってしまうのは、シンプルであるべきものがシンプルでなくなることに原因がある。
利用者の声を聞きすぎて約束していないサービス提供をはじめたり、接客による顧客満足に凝ってしまい、基本サービスではお客が喜んでくれないような状態を作ったりしていることがある。

サービス提供者の主体性の欠如と、利用者の客体性の優先が同時に起こるとき、基本サービスの歯車が狂いはじめる

たとえば、プライベートレッスンの英会話を提供すると約束しているのに、それでは不満なお客のためにグループレッスンをはじめたり、お客一人一人に完璧にマッチしたレッスンができるようスタッフがつきっきりでアドバイスしたりすると、基本サービスがうまく提供されなくなってしまう。
サービスの約束が守られなくなる。

これが、主体性の欠如と客体性の優先が同時に起こることで、サービスにコンセプトが反映されなくなるパターンとなる。
最後には、何のサービスを提供しているのかがよくわからなくなってしまう。

このようなコンセプトに沿っていない基本サービスを提供してしまったときの対応は、主に2つある。
ひとつは、コンセプトに沿っていない(反発している)サービスを切り捨てることによって回復を試みる方法。
原点に返りシンプルに徹することである。

もうひとつは新しいコンセプトによる新しいサービスを生み出すことで、別サービスとして展開すること。
多くを一つに混同せずに、それぞれ1つのコンセプトに1つのサービスを展開する。

コムサ・デ・モードを扱うファイブフォックスは、この方法でサービス展開している。
コムサ・デ・モードはアパレルをレディース、メンズ、子供服別に分けると共に、品質のレベル分けも行う。
小物や弁当も同じブランド名で展開しながら、ネーミングに微妙な差をつけることなどによってブランドイメージを保ち、サービスを分けている。

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