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Step2. 基本サービスを形作る

基本サービスを作る

基本サービスとは、提供するものそのもののことである。

銀行は融資が基本サービス、飲食店は食事の提供、タクシー会社は車を使って場所の移動を提供し、クリーニング店は衣服の汚れを落とす。
スターバックスはエスプレッソベースのコーヒーを、マクドナルドはハンバーガーを提供する。
これらが基本サービスとなる。
基本サービスがなければ、サービスは成り立たない。

基本サービスとして何を提供するかを決めるとき、考えるべき必要な条件は2つある。
ひとつは、基本コンセプトと個別コンセプトの2つのコンセプトに沿って決めるということ。
もうひとつは、既に作られたハードに沿って決めるということである。

コンセプトに沿って基本サービスを作る

基本コンセプトは、誰もが判断しやすい言葉で理解することができるコンセプトである。
「英会話スクール」「ファーストフード」などがある。
中華料理店では中華料理が提供される。
リフォーム会社は住居スペースのリフォームをサービスとして提供する。

この最も基本的なサービスが、基本コンセプトによって決まる。
シンプルで分かりやすい考え方なのだけれども、むしろ基本コンセプトは提供しないものを明確にする。

スターバックスでアルコールが、マクドナルドで牛丼が提供されることはない。
中華料理店ではナポリタンを提供しないし、リフォーム会社は家具の販売を行わない。

基本コンセプトは基本サービスの大枠として、提供するものを決めると同時に、提供しないものは何であるかを明らかにする役割がある。

個別コンセプトは基本コンセプトの枠組みの中で、提供するものとしないものをよりはっきりさせ、サービスの方向性を決める。
個別コンセプトは、お客の求める本質的なところを反映するために生まれる。
だから、個別コンセプトを基本サービスに反映するときは、脳がしびれるくらいそれを最も生かす方法を具体的に考え、サービスに落とし込むことがサービスの責任になる。

こういった責任を果たしているのであれば、お客の気分による要望にむやみに応えることはしない。
なぜなら、私たちが求められていることに応えるサービスをむやみと変えてしまうと、結局はサービスの成果が発揮されなくなるからだ。
または先に利用した人と、後に利用した人の間に差が生まれるとクレームにつながる。

だから個別コンセプトはどのように表すかを完璧にしてサービスに落とし込み、一度サービスの形を作ったらおいそれと変えてはならない。
一度作ったサービスが「お客に対する約束」であって、約束は何が何でも守られなければ、約束をただしく守っているお客が損をした気分になり、必要としているお客が去っていくことになる。
こうして、必ず提供するものと、絶対に提供しないものを決めることが基本サービスになる。

ハードに沿って作られる基本サービス

ディズニーランドのパレードを他の遊園地で行った場合、リッツ・カールトンの接客をビジネスホテルで行った場合と、その逆のケースを見た。
ハードに合っていない基本サービスは、サービスの機能を狂わせてしまう。

「体と心に優しい空間の提供」を謳うリフォーム会社の社員が、汚れたバンで乗り付けたとしたらどう感じるだろう。
または全く逆に、光り輝くベンツでリフォームに来るとしたら何か違和感を覚えないだろうか。
基本サービスが滞りなく完全な状態で提供されたとしても、お客は心の喉仏に魚の骨が引っかかったような感覚を覚える。

お客の感じるなんとはない不快感は、ハードと基本サービスのイメージが合っていれば解決される。
ハードを作るときに基本サービスを意識して作り、基本サービスを行うときにハードを最大限生かしているかということを気にかけていればいい。

それでもハードと基本サービスのミスマッチが起こってしまうのは、多くの場合ハードはハードで「より良くしよう」、基本サービスは基本サービスで「より良くしよう」という働きかけを行ってしまうことに原因がある。
究極にはウエスタンカウボーイ風の店で、最高の腕を振るった中華料理を提供してしまうようなことにもなりかねない。
このことはハードと基本サービスのバランスや相乗効果に注目すれば防ぐことができる。

しかし、最初はコンセプトとハードを中心に基本サービス提供していても、「売上げが上がらない」などの理由によって、本来提供するはずのないサービスを提供してしまうことがある。

たとえば「体と心に優しい空間の提供」のリフォーム会社で、「顧客ニーズに応えて」家具の販売を行ったり、風水を取り入れてどこに何色のものを置けばいいのかのカウンセリングを行ったりする。
しかも悪いことに、それがサービスを良くすることだと信じてやってしまう。
こうして「体と心に優しい空間の提供」のリフォーム会社のオフィスや店舗が、家具販売やカウンセリングのイメージに合わなくなってしまうことはよくある。

このような変化を起こすと、サービス提供者はふと立ち止まって気がついたときに「何をなぜ提供しているのか」という意味を見失う。

既に最初のコンセプトからは大きく外れてしまい、(売上げなどの)不安を解消するためにサービス提供を続けることが目的になってしまう。
このようなサービスは、最終的にお客が求めるものに応えることができなくなるし、もともと支持してくれていた大切なお客を去らせてしまう。
この現象は、基本サービスのルールを守らないために起こる衰退といっていい。

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