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営業アプローチの本質

対面コンタクト2/3

サービスとのコンタクトが成立する直接コンタクト、情報とのコンタクトが成立する間接コンタクトが不可能なとき、営業アプローチの成果として対面コンタクトを成立させる必要がある。
ところがこの対面コンタクトが冒頭に書いた「不確定要素」を生み出し、営業の成立を左右する。

営業研修の講師やコンサルタントは、お客の不安解消に関して教える。間違ってはいないが、決して正しくはない。
お客がなぜ営業マンと対面するのかという理由は人によって異なる。
少なからず多くの人が不安を抱えていてそれを解消したいと願うからだが、とはいえほとんどのお客は「そういうもの」だから対面しているのであって、自分がなぜ目の前に営業マンに対面する必要があるのかを理解している人は少ない。
そして彼らの多くが、直接コンタクトや間接コンタクトを素通りしているので、サービスについて十分な知識を持っていない。「調べるの面倒だから説明しに来て」ということもよくある。
これがなぜ「不確定要素に結びつく」のか。

不安を解消したい人や、相手のことを良く知らない人は、相手の人柄によって安心しようとしたりサービスに信用が置けると判断したりする。ということは、対人関係が得意な人やコミュニケーションに優れた人、聞き上手な人、雰囲気のいい人が営業を成立させる条件になってしまう。
実際に売れる営業マンのほとんどはこういう人だし、研修でもそういう部分を教える。
というと、「そんなことはない。企画営業のようにこちらから相手のニーズを満たすための提案をすることがある」という意見もあるかもしれないが、そもそも企画を立ててもらうのはその人が信用できるからであって、最初に企画があるわけではない。
これが「不確定要素」になる、というのはどういうことだろうか?

ちょっと考えてみてほしいが、「対人関係が得意」「コミュニケーションに優れている」「聞き上手」「雰囲気がいい」などの人間的条件は、契約成立後に提供するサービスとは何の関係もない
人間味だけで契約するわけではないという意見もあるかもしれない。確かにそうだ。けれども、そもそも営業は自社サービスに自信があってこそ行うもので、言い換えればその部分は納得してもらって当然なのである。だから直接コンタクトや間接コンタクトが(営業マン抜きにして)成り立つ。
営業マンとの対面コンタクトの場合だけ、そうしたサービス力ではなく人間力が決定要因になり、その人間力はサービスとは実は何のつながりもない。つまり王道の営業からすると不確定要素であること極まりないのだ。
営業マンの人間力によってサービスが利用されたりされなくなったりするのと同時に、人間力によって成立した営業はサービス提供後、お客が「期待した成果と異なる」と判断されて解約されることも少なくない。
すると営業マンは数字の維持などの社内的理由と、自尊心などの内的理由から一生懸命フォローしようとする。しかし根本的にお客が「人間力で買い」「サービスが不満足(または不一致)で解約」するのだから、この場合のフォローはほとんど意味を持たない。
営業は成立したのに、営業は失敗したというケースとなる。

そういうデメリットになる不確定要素はあるにしても、「~してもらう」ために対面コンタクトの成立は不可欠である。でなければ営業アプローチは完全にはならない。不確定要素を満たす必要がある。そしてそれは困難で、多岐に渡り、面倒な作業である。

それでもお客が人間力を信用してサービス利用を開始する(営業が成立する)のなら、事業側は人間力によって「~してもらう」ための方法を考える必要がある。でなければ、対面コンタクトを成立させた意味がなくなり、営業が成立しないからである。
同時に人間力とサービス力のギャップに対処する方法を検討する必要がある。
営業マンへの信頼はサービスへの信頼ではない。これを提供するサービスへの信頼とリンクさせる必要がある。

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