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第1の扉 - 卓越者は強みよりはじまる

強みの発揮を支えるもの1

強みの発揮を可能にし、土台として支えるものは5つある。

仕事、お客、道具、同僚の4つは接客者の外の世界にあり、「仕事」「お客」が欠けると強みは全く発揮されない。
「道具」が必要な接客であれば「道具」がなければやはり強みは発揮されない。
「同僚」がいなければ強みに集中することができず、弱みを自分で克服しなくてはならなくなる。
「能力」も同じように、強みの発揮を可能にし、強みを支える。

「能力」は接客者の内側にあるもので、強みを発揮し生かすために必要な能力が欠けていれば、強みという宝は持ち腐れになってしまう。

卓越する接客者は、自分の強みを発揮するのに必要な条件に力を入れる。
ただし、この5つの条件の中で能力に対しては全ての卓越する接客者が力を入れる。
能力そのものの習得やスキルアップではなく、強みを生かす能力を身につけようとする。

強みを支える仕事

接客が事業でしか活躍することができないように、接客の強みは仕事でしか発揮されない。
仕事で強みを発揮できるかどうかは、その仕事と強みが何であるかによって変わる。

その中でも、仕事の意味と意義、サービスのコンセプト、与えられた役割などによって、強みが生かされるか生かされないかが決まる。
環境としても決まり、理解や心の状態によっても決まる。

卓越した接客者であるスチュワーデスは、人に対して「様々な距離感を保つ付き合いができる」「人が伝えたいことを的確に察知する」という強みを、不特定多数のお客、非日常の空間で発揮することができる。
通常は快適に過ごしてもらうことを旨としながら、緊急時には体を張ってお客を守らなくてはならない。
そのような仕事が要求するシチュエーションに、この強みは応えることができる。

彼女が現在勤務する航空会社では、社員の希望シフトがなるべく通るような勤務体系がある。
子供を抱える母親として、生活を営みながら強みを発揮できる仕事であることは、そうでない仕事を選んだ場合に様々なものを犠牲にする必要があることを考えると、まさに仕事が強みを支えてくれている。

強みを支えるお客

強みはお客によっても発揮されるか、されないかが決まる。

たとえば、低価格層のビジネスホテルの接客スタッフと、高価格帯のラグジュアリーホテルの接客スタッフに求められる強みは異なる。
2つのホテルはお客層が違う。
お客のニーズも違う。
したがって接客者の役割もおのずと異なる。

それぞれの場で生かされる強みは異なる。
てきぱきと対応し、必要最小限の対応をして、なるべく干渉しない方が人間関係を上手く保つことができる強みがあれば、おそらくそれはビジネスホテルに向いている。

逆に、人の感受性を敏感に察知でき、心配りによって快適さを追及することができる強みは、ラグジュアリーホテルに向いているだろう。
この向き不向きは、お客がどのような人であるのかということによって決まる。
お客があなたの強みを求めていないのであれば、強みは発揮されない。

卓越した接客者である幼児教育の先生のお客は、子供でありながら子供ではない。
なぜなら子供の問題として表面化している多くの原因は、夫婦の関係や、親子の関係の中にあるからである。
つまりお客は親、とりわけ子供と接する時間の長い母親になる。

彼女がお客を子供であると決めていたら、問題の本質を解決してしまう彼女の強みは生かされなかっただろう。
実際、彼女のNPO法人では企業と提携して児童養護施設の子供を遊園地や映画に招待する企画を何度か行い、実際に成功しているが、その活動で彼女の様子は光り輝くものではない。

仕事として、活動として成果は出しているものの、お客を「子供たち」に設定したとたんに、「仕事としてこなすべき業務」になってしまう。
強みは生かされず、ただ業務が遂行される。
反対に、子供の問題とは一見何の関係もなさそうな、嫁姑と夫婦の問題を解消することで、家庭と子供の状態を一気に引き上げる。
強みはこうして発揮される。

強みを支える道具

接客の仕事には道具が必要な場合がある。
人に何かを教える仕事をしている人であれば、ホワイトボードやレジュメを用意する必要があるかもしれない。

お祭りの屋台でたこ焼きを販売する人は鉄板やプロパンガスが必要だろうし、ネイリストは爪を磨き装飾するための道具一式がなければ仕事をすることができない。
たとえその人に合ったネイルのイメージを察知できてしまうという強みを持っていたとしても、道具がなければそれが発揮されることはない。

オステオパシーの技術で人の体を正常な状態に治す、卓越した接客者である先生は、その人の体の悪いところを察知し、どのような方法と手順で治すといいかわかってしまう強みがある。
治療はほとんど素手で行われる。
しかしいくつかの治療には道具を必要とする。

たとえば、素手の技術で動脈の血液の流れを調整することはできても、リンパ液の流れの調整は専用の道具を使う。
同じように背骨の曲がりを矯正するときは専用の診療用ベッドを使い、気の調整を行うときは大きな水晶を使うこともある。
これらの道具は全て強みを生かすために使われる。
または、強みをカバーするために使われる。

リンパ液の流れを調整することはひょっとすると強みとは何の関係もないかもしれない。
単なる技術でしかないのかもしれない。
しかし、リンパ液の流れを調整しなくては、強みを発揮して全体の治療を完結させることができない。
道具は強みを支える一部分でしかないかもしれない。
けれども、卓越する接客者はそれが必要であれば、徹底的にこだわり、必ず取り入れる。

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