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第1の扉 - 卓越者は強みよりはじまる

強みを掛け合わせる


強みを発掘し、発掘された強みを実践する。
強みを上手く発揮するために、弱みをカバーする。

しかしそれだけでは、かなり素晴らしい接客者になることができても、卓越した接客者にはもう一歩遠い。
素晴らしい接客者は、何も能力だけを使うわけではなく、自分でも気づかぬ間にいくつかの強みを使っていることがある。
そういうことはほとんどないが、たまにはある。

しかしそれでも彼らはやはり素晴らしい接客者であって、卓越した接客者になることはない。
卓越した接客者は、強みを掛け合わせて使う

実際、強みをひとつ生かすだけではほとんど役に立たない。
なぜなら、他にもその強みを持つ人はおそらくたくさんいて、その人たちが強みを生かしていれば、自分の強みは多くの中のひとつでしかなくなってしまう。

たとえば、「人が抱えている問題の根本的な解決方法がわかってしまう」という強みを持つ人がいるとする。
その強みは既に最高の接客を行うカウンセラーやカスタマーセンター、弁護士、コンサルタントなどに存在している可能性が高い。
卓越した接客者の絶対数は少なくても、存在の可能性は決して低くない。
これでは強みは数多くの中のひとつでしかなくなってしまい、同じ強みを持つのであれば、結局能力で接客力が決まることになってしまう。

卓越する接客者は強みを掛け合わせて使う。
2つの強みを同じ場面で生かすことができれば、ほとんど誰も真似することができなくなる。
3つ組み合わせることができるとほぼオリジナルと呼んでいいものになる。

卓越した接客者であるスチュワーデスは、接客の仕事で少なくとも2つの強みを発揮する。
2つというのは、明らかになっている強みを2つ使っているということであり、実際にはおそらくもう1つか2つの強みを掛け合わせているはずである。

彼女は、人間関係と呼べるものは浅い関係であっても深い関係であっても全て築くことができ、相手との距離感を瞬時に察知してその距離で上手く付き合うことができてしまう。
距離感を適切に保つことができてしまうということは、多数の人と接することが可能であるということである。
この強みは、スチュワーデスとして一度に多くの接客を行う彼女の強みを生かしている。

彼女は仕事で別の強みも生かしている。
彼女と話をしたことがある人であれば誰も、人の話を聞くことと自分の話をすることのバランスが良いことに気がつく。
しかしこれはまだ強みではない。
彼女の強みはその奥にあり、人の話を聞くことで、その人が本当に言いたいことが何であるのか、伝えたいことはどの辺りにあるのかを敏感にキャッチすることができてしまう。
そして必要があれば、それを相手が最もフィットする方法でアウトプットすることもできてしまう。
話して反復することもできるし、書いてまとめることもできる。
どちらの場合も「それが、まさに私が言いたかったことです」と相手に評価される。

この強みもまた、フライトという隔絶された空間であり、上空という非日常の空間で生かされる。
たとえ相手が感情的に話し、支離滅裂であるとしても、何を望んでいるのかを知ることができてしまう。
問題が発生すれば、その問題に対して相手がどのような対応を望んでいるかを知ることができてしまう。

この2つの強みは、彼女が接客をするとき自然に掛け合わされ、実践される。

卓越した接客者は接客で強みを掛け合わせる。
イチローが内野安打と走塁と守備の3つの強みを掛け合わせるように、卓越した接客者もいくつかの強みを掛け合わせて実践する。

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