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成功とは何であるか

村上春樹の小説


作家の村上春樹氏は、著書「ダンス・ダンス・ダンス」の中でお金持ちの登場人物にこのようなセリフを吐かせています。

港区と欧州車とロレックスを手に入れれば一流だと思われる。
下らないことだ。何の意味もない。

要するにね、僕が言いたいのは、必要というものはそういう風にして人為的に作り出されるということだ。
自然に生まれるものではない。
でっちあげられるんだ。

誰も必要としていないものが、必要なものとしての幻想を与えられるんだ。
簡単だよ。
情報をどんどん作っていきゃあいいんだ。
住むんなら港区です。
車ならBMWです。
時計はロレックスです、ってね。

何度も何度も反復して情報を与えるんだ。
そうすりゃみんな頭から信じこんじまう。
住むんなら港区、車はBMW、時計はロレックスってね。

ある種の人間はそういうものを手に入れることで差異化が達成されると思ってるんだ。
みんなとは違うと思うのさ。
そうすることによって結局みんなと同じになってることに気がつかないんだ。
想像力が不足しているんだ。

そんなものただの人為的な情報だ。ただの幻想だ。

私たちの多くは成功することを考えるとき、真っ先に金銭的、物質的な成功を思い浮かべます。
思い通りにふるまえることや、有名になることを成功だと考えます。

実際に自己啓発では歴史的な有名人や、金持ちなどがよく取り上げられます。
知名度が高く、「露出が成功している人」がよく取り上げられます。
そしてその露出は豪邸や車やクルーザーであったりします。

多くの自己啓発では「欲しいものを紙に書け」と煽ることで、上の小説に書かれているように何度も何度も反復して情報を与えることを促進すらしています。

こうして必然的に、自己啓発の「成功」は社交的成功の延長や反復された物質を得ることになってしまっているのです。
そのことに気がついている人は決して少なくありません。

しかしそれでも、いざ学びによって何かを得ようとすると、自己啓発から学ばざるを得ないのも事実です。
他に効果的だとされている手段がないからです。

こうして真面目に取り組めば取り組むほどに、自分が想像する成功像はいつまでたっても手に入ることなく、露出することで「成功者とされる方法」やお金とものを手に入れることで「成功者と認められる方法」が成功者の道になってしまうという不幸な事実が存在します。

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