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3章 - 木から枝葉が育つ

「大人と話が合う」という強みを使う人

 

私がマネジメントを行っていた会社にも、強みを生かすことで圧倒的な成果を出したセールスマンがいた。
彼女は9ヶ月間クロージングアベレージ100%という成果を出していた。

私が彼女に行ったワークで、彼女は幼少時から周囲に大人がとても多かったということがわかった。
つまり彼女は「大人の信頼を得てしまう」という強みをかなり早い時期から発揮していた。

これは「子供の頃から周囲に大人ばかりいれば誰でもそうなるのではないか?」という疑問もあるかもしれない。しかしそんなことはない。
周囲の子供をよく観察してほしいが、強制的に大人が多い環境を作ったとしてもほとんどの子供は子供を求めてその世界からの脱却を図る。

彼女にして幼少時より生かされてきた強みが、セールスで大人の信用を得る必要がある場面で生かされていた。
だから彼女にとってお客と喋ることは昔から慣れ親しんだ会話の延長に過ぎなかった。

あるとき会社の期間合宿で、彼女は9ヶ月間の脅威の成果に対して表彰を受けた。
その表彰にとてもうれしそうな顔をしていた。彼女は大阪支社のスタッフだったが、その圧倒的な成果を他の社員にも伝えるために、何度か東京に赴いて話をしたり、セールスの現場を見せたり、ミーティングで発言をしたりした。
しかしその中の誰も彼女と同じような成果を出すことはできなかったし、彼女のように無条件に「大人の信頼」を勝ち得ることができるようになった人もいなかった。

つまり、完全に個人の持ち物である「強み」を生かしていた彼女を真似しても、誰も同じようにはできなかったということである。
強みの特徴からして、これはもっともなことでいたしかたない。

彼女は商品販売だけではなく、販売後の商品サービスに関するカウンセリングも行ったが、こちらも高い顧客満足を得ることができた。
この会社でセールスとサービス提供の両方で成果を出した人は他にはいなかった。

それも「大人の信頼を得てしまう」という強みが、両方の仕事にぴったりと条件一致していたからである。


 

強みに基づく成果は、決して誰も真似することができない。
その人がどんなに親身になって伝え、教えてくれても、その強みを持たない人が同じように行うことは決してできない。

強みを生かしている人から学ぶことができるのは、「どのように強みを生かして成果を出しているのか」という考え方のヒントだけだ。
だから強みを使う、生かすことを考えるときは、行為や行動を真似してはいけない。

エジソンが12000回実験をしたのだから自分もあきらめずにできるまでやる、というのは実は誤りである。
エジソンは実験ができてしまう、根気強く成果を追い求める方法ができてしまう強みを生かしたに過ぎない。

イチローは小学生の頃、友達の遊びの誘いを断って家で素振りをしたという。
しかし同じことを別の小学生が行っても大リーグで活躍できる可能性はほとんどない。

どちらも人の強みを真似ているだけだからだ。
自分にないものを基準にして努力や苦労をしてもうまくいかない。

自分に備わった強みを、自分らしく生かせる方法を考えなくてはならない。
それは難しく考える必要はなく、「大人と話が合う」から大人相手に会話する仕事ができたらいいかも、という単純な考え方からスタートすればいい。

そこからまた、別の強みを生かす機会や可能性を検討すればいいだろう。

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