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4章 - 朝顔は朝に咲く

強みを最大化する1 – 弱みをカバーする

強みを最大化するための1つ目は「弱みをカバーすること」である。

どんな人にもなぜだかわからないけど「できてしまう」ことがある反面、どうしてもどうしても「できない」ということがある。

私が20代前半の頃、北海道の牧場で住み込みのアルバイトをしていたことがある。毎日の作業はルーティンで決まったことをこなすことだった。
朝6時に起きて搾乳をする。
朝食を食べたら牛舎の掃除。
昼食を食べ、午後から牛に餌を与える。
夕方の搾乳をしてから晩ご飯を食べて就寝。
これだけだった。

だから慣れてしまえばどんなに不器用な人でもそうそう間違いを起こすような仕事ではなかった。
体力は必要だが、難しい仕事はひとつもなかった。

しかし私は大きなミスを何度もした。

牛舎の門の南京錠を閉め忘れて牛が数十頭逃げ出したことがあった。鍵をかけるなんて小学生低学年でもきちんとできるだろう。

牛舎の掃除をするためのショベルカーのタイヤをパンクさせた。過去にパンクさせた人はいなかった。牧場のオーナーにさんざん愚痴を言われた。実際どうやったらあの大きなタイヤの太いゴムをパンクさせることができるのか今考えてもわからない。

出産間もない牛の乳を人間が飲んではいけないが、誤ってその牛の搾乳をしてしまった。その牛から出た乳はフルオートでその他の牛乳に混じり、何百リットルかの牛乳を全て無駄にした。

つまりは、かつてないほど私は落ちこぼれで、役立たずだった。

 

後にも先にも、これほどまでにダメ人間だということを自覚したことはない。

告白すると、何度も満天に星が輝く夜空を見上げて「神様助けてください」とお願いしたことを思い出す。
無力感と無価値感で心がボロボロになっていた。

畜産をやらせれば私は落ちこぼれだった。
どんなに頑張っても、努力しても、発想を変えても、うまくできないという答えだけが変わらなかった。

つまり、牧場での仕事全てが私にとって弱みだった。
私はその牧場を3ヶ月で辞めた。

 

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