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2章 - キジバトを探す

強み発掘法その1 – 小さなものを積み重ねる「ポジティブ・フィードバック」

「小さなもの(こと)が、大きなもの(こと)を作り上げていく」というのが、ポジティブ・フィードバックの根本的な考え方になる。

雪山で転がした雪のボールが斜面を転がることでどんどん大きくなることや、マイクが拾った雑音がスピーカーに反映され、それをまたマイクが拾いということを繰り返すことで「キーン」という耳障りな音が鳴ることなどがある。

社会生活だと、お金持ちはそのお金を投資に回すことでよりお金持ちになり、ベストセラーは認知が広まるとさらに多くの人がそれを買い求める、というケースが代表的な例としてある。

このポジティブ・フィードバックをカウンセリングの場に応用している人もいる。
数名でグループを組み、そのグループの1人に対してその人の「いいところ」を発言していく。
1つ1つの発言は小さなものだが、様々な角度から小さな「いいところ」を積み重ねることで、ターゲットとなる人の大きな「いいところ」が見出すことができる。

この方法を、強み発掘に応用できる。


 

自分のことを知っている人に対面や電話、メールなどを使って自分が「うまくできること」が何かを聞いてみる。

「できてしまうこと」と言ってしまうと相手は戸惑うので、ここでは「うまくできること」と言うようにする。
「うまくできること」の他にも「私が自分では気がついていない、何かいいところってあるかな?」などと質問してみる。

1人から得られる答えは小さなものなので、なるべく多くの人に聞くということがこの方法のキーワードになる。

多くの人から1つ1つの小さい視点を集めて、それをよく見ることで強みを探す。

私の友人にこの方法を使って強みを発掘した人がいる。彼女はまず母親と妹に質問した。母親は「手先が器用」であると言い、妹は「周囲の人を明るくさせる」と言った。全く異なる2つの小さな視点が出た。

量は少ないが、考え方を知ってもらうために私はこの2つを軸にして強み発掘のカウンセリングを行った。
これまでにどのような時に「手先が器用」で「周囲の人が明るくなった」のかということを訊ね、よく考えてみると「できてしまっている」か、「他の人は誰も同じようにできない」のかということを確認した。

手先の器用さからは「集中力」と「視覚情報」が関わることに使われていることがわかった。
何か(たとえばビーズワークや絵画)を創作するときにまず「視覚情報」が使われ、「視覚情報」が使われるものには「集中」することができ、その結果「手先の器用さ」という強みが最後に生かされていることが明らかになった。

そして、彼女のその姿が周囲の人を勇気付けていた。
妹が言った「周囲の人を明るくさせる」というのは、実は「周囲の人を勇気付ける」ということだということが、過去のケースを思い返したことでも明らかになった。

 

他人から見た小さな「できること」は、誤差を含む場合がある。

相手の目線や視点を通じて「できること」が伝わるため、物事が正確ではないことがある。
例の友人の場合だと、「手先の器用さ」は表面上に現れた強みでしかなく、その背後に「図式化(視覚情報)」という大きな強みがあったし、「周囲の人を明るくさせる」というのは、実は「勇気付ける」だった。

彼女の場合はカウンセリングによって誤差を修正したけれども、ポジティブ・フィードバックは数(量)を獲得することで正確に強みを把握することができるようになる。
だから、なるべく多くの人に質問して意見を求めるようにしたい。

ほとんどの人は素直に「教えて」と頼られたら、快く教えてくれるだろう。
なかなかそういう話をしにくい相手には、こちらからその相手の小さな「できてしまうこと」を会話の流れで伝えた上で、「私にも何かそういうことがあるかな?」と会話を導くと話してくれやすい。

相手の強みを探す作業は自分の強みに気がつくヒントにもなるので、なるべく相手の強みを同時に見つけてあげるようにした方がいいだろう。

 

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