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マーケティングの勘違い

マーケティングは販売促進を不要にする

マーケティングは、はじめからお客に支持されるものを用意する。
しかもお客が買いやすいように工夫する。

販売促進ではお客の支持云々は関係なく、売るために工夫を凝らす。
そのためにお客に売りやすいように努力する。
お客の支持は売るために必要な時だけ考えられる。

つまり、マーケティングが成功していれば、売る努力を行わなくてもお客が買ってくれるので、販売促進活動は不要ということになる。

多くの人がマーケティングだと勘違いしている販売促進は、実際のところ疲れる。
体力を使う。知恵も使う。実験も行う。
それはそうだ。

私たちは個人の人間関係でも「私中心」「私の話を聞いてほしい」「私の話を聞けばメリットがある」と一方的に押し付けようとすると相手の反発を生み出す。
よく、人の話を聞かずに一方的に話す人がいる。
そういう人の話は周囲をうんざりさせる。
誰も心からその人のことを想おうとはしなくなる。

そこで頭のいい人は、自分中心を通しながら話を聞いてもらうために、一応先に相手の話を聞き、「どうやらコミュニケーションには相槌やうなずき、同意が必要らしい」などという知識とスキルを身につけようとする。

しかし、どんなに努力しても、時間を使っても、知識を身につけても、結局彼らの行っていることは人の話を聞くことではなく、自分の話を聞いてもらうことである。

これが、販売促進で行うことと同じ努力である。
販売促進は買ってもらうために何かを行うのではなく、結局は売るために何かを行う。
自分の話を聞いてもらうために必要な努力と同じ種類の努力が必要とされる。
だから本人も相手も、見ている人も疲れる。

なぜならその前提が、相手が心地よくなるために何かを行うのではなく、不快になることをうまくカバーするために何かを行うからだ。
だからエネルギーを使うし、疲れる。

しかし人は誰かとの付き合いが長くなると、その人が本心で自分のことを想って話してくれているのか、結局は自分中心に話しているのかということがなんとなくわかってくる。

たとえ話し方やコミュニケーションが上手くても、自分中心の人や自分の話ししかしない人から人は去っていく。
そうするとその自分中心の人は、ますます人が去っていかないように努力する必要に迫られる。

これを事業に置き換えると「顧客囲い込みのための努力」をしなければならなくなる。

お客離れを引き起こすと売上げに重大な問題が生じるので、自分たちの利益を守るためにお客を囲うようさらに努力しなければならなくなってしまう。
具体的にたとえば、二次販売を行うためにコミュニティを作り、お客を交流させることで喜んでもらう。
他のサービスではそのようなことを行っていないことをアピールして、他社に鞍替えしても結局損であるということを伝える。

この(販売)努力はたいしたものであると思うが、やっている方は非常に消耗する。
もともとがうまく行かない関係をうまく行かせようとするために努力するのだからやはり疲れてしまう。

はじめから相手のことを想い、相手が求めるものを満たしていればこのような努力は必要とされない。
そんなことをしなくてもお客は自然と支持してくれ、自然とコミュニティを作ってくれる。取り立てて他社の商品に移り変わろうなどとは思わなくなる。
お客が自主的にそう考えてくれる。

事業主はただお客を信頼して、自分たちのサービスの質を高めることに専念すれば良くなる。
サービスに専念し、質が高まればお客はますます支持してくれるようになる。
こうして好循環が生まれる。

これがつまり、マーケティングは販売促進を不要にするということである。

マクドナルドはマーケティングされているということ

1940年代半ば以降のアメリカで、手軽にステーキ(のような肉)を食べたいという希望に応えて、ハンバーガーショップが急速に広まった。

マクドナルドはお客の声に耳を傾けて、「ファースト」フードの考え方を生み出した。車社会のニーズに応えてドライブスルーの店舗を展開したし、アメリカ中どこでも(後に世界中)同じ品質の同じものを食べることができる安心感に応えるためにチェーン展開した。
アメリカ国民が望むことにどんどん応えた。

マクドナルドはマーケティングを行った。最初から買ってもらえるものを用意し、最初から支持される形態(ファーストフード、ドライブスルー)を用意した。

もしあなたが、現在それほどお客の声に耳を傾けないまま商品を販売しているのなら、そして買ってもらえない(売れない)ために事業運営に苦労しているのなら、買ってもらえるサービス提供に変えたいとは思わないだろうか。

毎日戦場に出て明日の命を心配する戦闘から、最初から勝つと決まった戦争だけをする努力に変えることは誰にでもできる。

戦闘をとにかく勝ち抜き、それを評価されて将軍になる北風モデルは、自分を証明した気分になることができる。
苦労が報われた気になることができるし、実力の証明にもなる。
「自分は成功者なんだ」と自画自賛することができる。

しかし将軍になれる確率は、砂金を救って億万長者になれる確率ほど低い。
自分には必要とされる能力がないかもしれないし、同業他社が力を持っていれば勝つことはできない。

この北風モデルをやめて、最初から勝ちが約束された必要な戦いだけを行い、必要ではない戦いを避けて全体的にうまく運ぶ太陽モデルを選ぶことはできる。

苦労や努力に裏打ちされた実力を褒めてもらえることはないかもしれないが、当たり前のことを当たり前に行って、それで旅人のコートを脱がすことができればそれがいいのではないだろうか。

そのために何を行えばいいのかということを順番に見ていこう。

ただし、太陽モデルの具体的なマーケティング方法を知る前に、サービスにまつわる誤解を詳しく知っておく必要がある。
なぜなら、マーケティングとサービスはミルフィーユの生地とクリームのように、切っても切り離せない補完関係にあるからだ。

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