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2章 - キジバトを探す

強み発掘法その2 – 過去の成果に眠る強み「ジョブ・フィードバック」

ポジティブ・フィードバックが客観視点から強みを探す方法なら、ジョブ・フィードバックは主観から強みを探す方法である。

ジョブ・フィードバックは過去の「成果」から自分が持っている強みを探し出す。

過去に行った仕事やプロジェクト、学生時代の学際や部活、子供の頃の何かのコンクールや発表会など、一通りの「成果を出した物事」を書き出す。
どんな小さなことも全て書き出すようにする。

割と楽に思い出すことのできる記憶は、それが大切な情報であるという脳の認識があるので、小さなことや一見関係なさそうなことでも書き留めるようにする。

書き終わったら順番に、それぞれの成果が自分のどのような強み、つまり「できてしまうこと」から生み出されたのか、「できてしまうこと」が関係したのかしなかったのかを書き出す。
努力や苦労、瞬発力や学習の成果ではなく、「何だか知らないけどできてしまった」部分を抜き出して書く。

それが終わったら、強み予想の中から共通する物事をくくる。
共通する数が多いものほど強みである可能性が高いということになる。

高品質サービスを提供することで有名なあるレストランのオーナーは、そのレストランをオープンする以前、高級リゾート地、高級ホテルを高頻度で利用し、年に5回同じ車を買い換えるということをしていた。通常であれば金持ちの道楽に見えるこの行為は、彼にとっては「常に」行う日常生活の一部で、決して成金でなければ趣味でもなかった。
彼はその行為が「できてしまう」人だった。

さらに彼は、行く先々で出会う人と仲良くなるという強みを持っていた。
多くのサービスで、それ以上に数多くの人と出会い、コミュニケーションを交わし、仲良くなった。

自分に最も適した日常を選択し、そこで出会う人と密接な関係を結ぶ彼の強みは、日本有数の高品質サービスとして名高いレストランカシータを生み出した。

 

ごく常識的に考えてみると、客観的に見て贅沢と会話を楽しんでいるだけのこの強みは、人生や仕事に生かしようがないようにも思える。
しかし過去にできてしまっている強みが、新しい強みの発揮を生み出した好例だといえる。

1章の冒頭に書いたエジソンを思い出してほしい。
客観的に見ると彼は単にフィラメントの素材をテストしたにすぎない。
人から見るとそれは「失敗」の連続で、1000回目でダメだと悟らないことが愚かなことに映るだろう。
1円も生み出さず、時間を浪費して正しく生活を行わないことをして「ダメ人間」とレッテルを貼るに違いない。

しかし彼は、昔から継続的実験が「できてしまった」。
こういった「できてしまう」ことは過去を振り返ることでいくつか見つけ出すことができる。

ファッションデザイナーの中には、昔からパンツの後ろのポケットの、裏側の縫い目がまっすぐであるかどうかに神経質にこだわる人がいる。
売れていない頃からそれが「できてしまう」。こういったことが「強み」である。

こうした「強み」は人から見て批判されることであったり(「売れていないファッションデザイナーが、ポケットの裏側の縫い目を気にしてどうする?愚かだ」と言われる)、自分でも「何の役にも立たない」と思い込んでしまったりしがちだ。

しかし実際にはエジソンもデザイナーも、そんな強みを生かすことで自分らしく生きることができている。

ジョブ・フィードバックで大切なことは、過去「できてしまった」ことの中から現在役立ちそうなものを選び出すのではなく、どんなに役立たなさそうなことであっても自分自身が持っている「ありのままの姿」を捉えることにある。

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