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サービスの勘違い

サービスは顧客満足を不要にする


完全なサービスはお客に喜んでもらおうとしなくてもお客が喜んでくれる、というと大きな反発があるかもしれない。

その証拠にリッツ・カールトンなどのラグジュアリーホテルでは、お客に満足してもらうための心配りが優れているなどという具体的な反論も出るかもしれない。
しかしそれでも完全なサービスは、完全なマーケティングが販売促進を必要しないように、顧客満足を呼び起こす行為を必要としなくなる。

それは、はじめからお客が満足するサービスを作るからである。

マーケティングによって明らかにされたお客の求めるものにしたがってサービスを作るのだから、それを利用するお客は利用すれば満足してくれるようになっている。

それはリッツ・カールトンのような高級志向のサービスでも同じことであり、接客者の心配りは個人の気持ちからだけではなく、サービスの決まりが具体的にそれを求めるように定めていて、指導している。
そういった方針がサービスの全体像の一部になっていて、はじめからその方針を取り入れたサービスを提供すると決め、約束している。

販売促進活動が疲れるように、顧客満足を追求する接客は疲れる。

もちろん、販売促進がうまくいったときに契約数が伸びたり売上が上がったりすると嬉しいように、接客によってお客から感謝されたり喜んでもらえるのは嬉しいに違いない。

しかし、ベテランで熟練した接客者の話に耳を傾けるとわかるが、彼らをして確実に喜んでくれるお客というのは全体の10%に満たない。
これは販売促進活動で集客をして、実際に商品を購入する人が10%に至らないのと同じ確率である。

さらに、たとえばオリコンが実施した9001名に対する、英会話スクールの顧客満足度調査で、接客による満足度が全体の何%なのかを見てみると、トップの7アクトでさえ3.35ポイントに過ぎないということがわかる。

調査項目から読み取れるのは、「先生の質」や「利便性」「レッスン料」など、基本的なサービスへの支持が圧倒している(56.27ポイント)ことで、最初から支持されるサービスを用意しているかどうかということが、実は顧客満足を喚起する上で最も重要だということがわかる。

つまり実際には、ベテランによるすばらしい接客でも、サービス全体の顧客満足にはほとんど影響を与えないということである。

マクドナルドはサービスされているということ

マクドナルドはそういった意味でかなり完璧にサービスされている。

ハンバーガー(つまり肉)は若者を中心に好物であるし、バリューセットはお得感を感じさせてくれ、選ぶ面倒くささから解放してくれる。
店舗で食事をすることも持ち帰りにも対応しているし、なによりいつでもどこでも、マクドナルドに行けば安心して同じもの(知っているものは安心できる)を食べることができる。
マクドナルドが新メニューを開発すると生態系に影響があるといわれるほど、大量に約束している商品を品切れなくいつでも提供できるのは、サービスの信用があることの証明になっている。

私たちはそれを当たり前だと思っている。だから、普段はこういったことに気を止めたりはしない。
むしろ気にかかるのは、レジカウンターの店員の接客が良くないと感じることである。

しかし、私たち個人が想像できないほどの肉や野菜を、確実に手に入れ、品切れを起こさず、全国で同じメニュー(一部のメニューは世界共通)を提供するということは、マクドナルドは完璧にサービスされているということである。

その証拠に、毎年日経新聞によって行われる外食産業の売上高調査で、マクドナルドは例年1位の座を守っている。
売上高によってサービスの良し悪しを直接判断することはできないが、それほど多くのお客がマクドナルドを支持し、利用していることは証明されている。

マーケティングされたサービスを行うと、売上と顧客満足を追求しなくてもいい状態を持つことができる。
売上を上げるためにあくせくするのが販売促進、顧客満足を高めるために汗をかくのが接客努力である。
マーケティングされているサービスを作ると、あくせく売上を考えなくても買ってくれるようになり、サービスが約束されているので顧客満足に知恵を絞らなくても喜んでもらえるようになる。

次に、このマーケティングとサービスの関係を詳しく見ていくことにしよう。

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