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3章 - 木から枝葉が育つ

卓越者の価値観1 – 真摯さを持つ卓越者、プロ意識と責任感を持つ能力者

強みを使う人が持つ「価値観」の1つ目である「真摯さ」は、「真実を基準として」「誠実さを前提とし」「貢献を目的とする」ことである。

強み自体、それを使う人がはっきりと自覚しているとは限らないので、価値観も同様に卓越者がはっきりと自覚していない場合もある。

真実を基準とするのは、絶対に間違いのないこと、必ずそうであるといえること、正確な事実であること、などをものさしにするということである。
これに対して能力を使う人は、経験をものさしにする。
経験は人によって異なり、基準が変わり、正しい判断や方法は人によって異なる。
ある人は思いやりをものさしにして、また別のある人は技術力を基準にするということになる。

たとえばオステオパシーを使う卓越者の場合、「根本的原因」「体の相関性」という真実を基準にする。
これまでの経験上その症状がどうかという視点では患者を見ない。


 

真実を基準にしても、その人に誠実さが欠けていれば真摯であると言えなくなってしまう。

癌の告知をする医者が「あなたは間違いなく癌です。これから長い闘病生活が待っているので準備してください」と、こともなげにさらりと言ったとすると、その真実は暴力になってしまう。

例に挙げた卓越したセールスマンは、相手に対する誠実さを大切にしている。
彼女は売りたい気持ちで相手に接するのではなく、相手が望む状態を手に入れるのに必要であるかどうかを基準として誠実にカウンセリングを行う。販売が成功するのは結果論に過ぎない。


 

そして「真摯さ」を決める最後の条件が「貢献を目的にする」ことである。
能力使う人は「自分の喜び」や「自分の満足」を目的にする。

建築家である私の友人は、自分のキャリアアップのために大きなプロジェクトを完成させるわけでも、自分の力を証明するために毎日の仕事を行うのでもない。
もちろん根底には喜びがある。ただそれが目的ではないだけである。

彼はいつもその土地にそのコンセプトの建物(群)を造ることの意味を考え、意識している。将来そこを利用する人の顔を見ることはないが、大勢の人の役に立つように自分の仕事を行い、強みを生かす。


 

これら「真実を基準として」「誠実さを前提とし」「貢献を目的とする」3つを1セットとして「真摯さ」を1つ目の価値観として持つのが強みを使う人である。

これに対して能力を使う人は、基準が自分ではなく外の世界にある。
従って真摯さが基準にはならず、求められる「プロの仕事」「責任感」が彼らの価値観となる。

同じスキルや技術力を持つ者でも、根底にある価値は自分発信か外の世界発信かによって大きく異なっている。

ここでひとつ大切なことがわかる。
「真摯さ」は強みを発揮する自分に向けられており、「プロ意識と責任感」は仕事という外の世界に向いていることである。

真摯さが自分に向けられているということは、強みを発揮するときはいつでも真摯であるということである。
プロ意識と責任感が仕事に向いているということは、能力を使うとき(つまり仕事時)にのみその価値観は発揮されるということである。

この結果「真摯さ」は人の信頼を生み出し、「プロ意識と責任感」は人の信用を生み出す
そして強みを生かす人は「信用」ではなく「信頼」を獲得する。

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