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マーケティングされたサービス

予想はしない。声を読む

08.予想はしない。声を読む

ネット上の掲示板、ブログ、一歩進んでお客の声を集めるサイトを作り、あるいはサイト管理者にあって話を聞くことができたとして、そこに寄せられる声が、そのままお客の求めるものだと考えてはいけない

それはあくまで表面上の意見でしかない。

マーケティングを行うとき、私たちは心理学者やベテランのカウンセラーのように、相手の奥底に眠っているものを読まなくてはならない。
でなければ表面上のニーズに応えるサービスを用意してしまい、いざ新サービスがスタートしても思ったほど支持されないという状態になりかねない。

7アクトの場合、お客の声に耳を傾けた結果「会話力が伸びない」という傾向があることはつかんでいた。
そのために7アクトでは語学習得のメソッドを研究し、レッスン時間を有効に利用できるオリジナルメソッドを作り、後には各個人に最も適した学習方法をカウンセラーがプログラムするしくみも取り入れた。
しかし、これは表面上のニーズに応えただけにすぎなかった。

当初最も重要だったのは、そして結果として最も効果があったのはプライベートレッスンに特化したことだった。

「話せるようにならない」という原因は、当時英会話業界の常識だったグループレッスンにあった。
グループレッスンでは、英語に触れる絶対時間がどうしもて短くなってしまう。
休まずに毎週ちゃんと通えば伸びるというわけではなかった。

これに声を、私たちはこう「読んだ」

1時間のレッスンで6人のグループレッスンでは、多く見積もっても話すことのできる時間が、1人あたり10分にしかならない。
お客の声には、彼らの遠慮も含まれていて、隣に日本人の生徒がいる環境(グループレッスン)の中では、恥ずかしくて思うように話せないとも考えていた。
状況によっては、カラオケでマイクを離さない人のように、自分だけ思うように話す人がいることで、意欲を削がれるということもあった。

このスピーキングの時間不足が「会話力が伸びない」原因ではないかと考えた。
予想したのではなく、お客の声を少し考えて読んだのだった。
そして提供するサービスの最大の特徴を「プライベートレッスン」にした。
これなら講師が半分の時間話しても生徒は30分話すことができ、同じ日本人の生徒がいないので恥ずかしい思いや、我が物顔で喋る人を気にしなくてもいい。

こうしてお客の声にあらかじめ応えたサービスを生み出したので、圧倒的な支持を受けてサービスを利用してもらうことができた。

マーケティングは100%お客中心で進める

マーケティングは、何が何でもお客至上主義で行う。
お客イコール神様のスタンスで行う。お客の声を天の声として扱う。

神様の言葉が時々抽象的であるように、お客の声もあいまいなことがあるので、それを正しく読むように心がける。
そのためには、声のが必要になる。
ただ、量はインターネットでほとんど得ることができるので、できるのであれば現場の空気や声を身近に感じることのできるお客の声がほしい。

「スターバックス成功物語」には、お客の声に応えノンファットミルクを取り入れようとするハワード・ビーハーが、ある男性社員に(コーヒーの味を損なうとして)すごい剣幕で詰め寄られる場面がある。

「あなたが今やろうとしていることは、われわれのコーヒーの質を守ることにはならない。むしろ、品質を損なうことになる。このままでは、顧客の望むことなら何でもやるということになってしまう」。
「君は、どうかしているんじゃないのか」。ハワードは自分がこう答えたことを今でも覚えている。「もちろん、顧客の望むことなら何でもやるよ」。

この姿勢はサービスのあるべき姿だとよく誤解されるが、これこそマーケティングのあるべき姿である。
顧客こそが至上であって、顧客の意見に応えることがマーケティングの使命である。

取り違えてはいけないのは、このような行為はお客を喜ばせるために行うのではない、ということで、あくまでお客の求めるものに応えるために行うということがポイントである。

サービスは100%事業主導で行う

マーケティングが100%お客中心で行うのに対して、サービスはどのような場合も事業中心で行う。
上のスターバックスの例でいうなら、ハワード・ビーハーに詰め寄った男性こそ、サービスマンの鑑であると言ってもいい。

サービスは本質的に、サービス提供者が何を提供するかを一方的に決める。
お客の声に応えるにしろ、応えないにしろ、提供するものを決める時は提供者が一方的に決定する。

しかもサービスは、サービス提供者からお客に向かって一方的に提供される。
逆の流れはない。

この一方的な特徴を持つサービスだからこそ、そのサービスが信頼に値するほど考え込まれ、作りこまれた完璧なものでなくてはならない。
だからスターバックスの男性社員は、お客の意見を取り入れるかどうかよりも、コーヒーの品質(つまりサービス)を守るために最善と思われることを行った。
それがノンファットミルクを導入しない方針だった。
その意味で彼はサービスマンの鑑である。

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