Esmose

コラムを読む

3章 - 木から枝葉が育つ

卓越者の価値観3 – 成果を追求する卓越者

卓越者の価値観を組み立てる最後のピースは「成果の追及」だ。

強みを使う人は、特に強みを使う部分に対しては変質的と思えるほどの完璧さを追求する。その結果としての「圧倒的な成果」を生み出すためである。
実際「圧倒的な成果」のためには、彼らは脇目も触れない。

圧倒的な成果というのは、たとえば10年来の偏頭痛がぴたっと解消することや、鏡の中にこれまでで最高に美しい自分を見つけるというようなことだ。その成果を得るためなら、オステオパシーの先生は何度も何度も同じ質問を根気強くするし、美容師ならお客の懐など意にも介さずにパーマを当てるかカラーをするかを決める。
彼らは成果を追及するためなら文字通り何でも行う。

これに対して能力を使う人はプロセスを満たす。
オステオパシー技師ならその日行うべき治療を一通りやりきることが目的になるだろう。その結果痛みが引かなければまた次回になる。能力の範疇を超えているからだ。
美容師なら相手の希望する髪形を忠実に提供しようとする。圧倒的な成果ではなく、相手の満足を基準にしているからだ。

これが強みを使う人と、能力を使う人の価値観の違いである。

ワースという19世紀のファッションデザイナーがこのように紹介されている。最後の二行に注目してほしい。

19世紀のオートクチュールは、裕福な女性が、技術の高いプロに服を作ってもらっていたということだけではない。オートクチュール・サロンの雰囲気は、通常の仕立て服のサロンと大幅に異なっており、次のように説明されている。「ワースのオートクチュール・サロンでは、貴婦人が突然、店に入っていって、『グリーンの絹のドレスを金曜日までに』と一方的に注文するわけにはいかない。ワースと会うには、まず最初に予約を取らなくてはならない。ワースは顧客自身のアイデアは無視することが多く、その人に一番似合うと思うスタイルを彼がデザインし、仕立てた」

(「パリ」の仕組み 川村由仁夜著より抜粋)

 

卓越者(この場合はオートクチュールのクチュリエ)が、最大の成果のためにはお客の意見にすら耳を傾けないことがわかる。そして圧倒的な成果によってお客に支持されている。

「成果の追求」に対して卓越者がどのように挑むのかということに関しても書かれている。

オートクチュールは、価格面も含め様々な面で特別だった。
クチュリエが顧客を扱う方法、デザインのプロセス、アトリエの所在地、生地の高級感など、どれもが通常の店とは異なっていた。たとえばワースのサロンでは、日中でも窓をふさぎ、ガス灯の光で部屋の中を明るくしていた。
それは、夜会服を試着するときに、晩餐会や会合に出たときと同じ状況をつくるためだった。(「パリ」の仕組み 川村由仁夜著より抜粋)

 

強みを使う人が持つ価値観は、その強みを使うときにはこれほどまでに徹底している。

逆に言えば「真摯さ」「個別化」「成果の追求」を行うことができてしまうものこそ、強みを使いこなすためのヒントになるとも言える。

トップに戻るボタン