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3章 - 木から枝葉が育つ

卓越者の行動2 – 本質を追求する卓越者、能力を習得し高める能力者

強みを使いこなす人の「行動」の2つ目は「本質の追及」である。

彼らの「本質の追及」の仕方には2つの方法がある。

1つ目が「マルコポーロのように行って、見る」という方法で、もう1つが「氷山の下を調べる」方法である。

何かを学ぶとき、その方法は大きく分けて2つある。
ひとつは行動から学ぶことで、もうひとつは知識を身につけることで学ぶことである。
「マルコポーロのように行って見る」というのは、行動から学ぶ方法にあたる。

イタリアのルネッサンス期や古代ローマの歴史を書き続け、小説として日本人にその魅力を伝える作家の塩野七生は、1冊の本を書くのに1年かかることがあるという。なぜか。彼女は歴史と対話するという強みがある。
ロマン、事実、人間などを「昔」という尺度から拾うことができる。
その彼女が1冊の本を書くためには歴史と大いに語り合わなくてはならない。

彼女は古文書を扱うイタリア各地の図書館を訪れ、難解な書物を読みに読みまくる。
そして可能な限り実地調査を行う。
ギリシャとトルコが分割するキプロス島を訪れる場合、ギリシャ側はギリシャ国内から入国し、トルコ側はトルコ国内から入国して実地調査を行う。

 

こうして作家・塩野七生は「マルコポーロのように行って、見て」その本質を明らかにする。

「氷山の下を調べる」方法は、小学生が国語辞典を使って単語を調べる方法と似ている。基本的には調べ、学ぶというステップを踏むのだが、それだけでは終わらない。

特に低学年の小学生が辞書を引くとき、意味を説明する文章の中に知らない単語を見つけることがある。そうすると最初に調べた単語の意味がよくわからなくなってしまう。
そこで、意味を説明する文章の中にある、知らない単語をまた辞書で引く。

ところが、その単語を説明する文章の中にもまた知らない単語が見つかる。そうするとその単語の意味を理解しなくては、結局最初の単語の意味がわからないことになってしまう。
こうして関連する単語をどんどん調べなければ、意味を知ることができなくなってしまう。

最初の単語は海上に見える氷山であり、枝分かれしてどんどん増える未知の単語は、海中の大きな氷山の塊だ。
海中の氷山は、潜って調べなければどのような実態があるのかわからない。
単語と異なるのは、ひとつひとつ知っていくことにかなりの時間がかかるということである。

つまり強みを生かす人は、氷山の下を調べることにかなりの時間を費やす。
実際、作家・塩野七生もこの方法を行っている。

イタリアの図書館で古いイタリア語と格闘する塩野氏は、テーマの本道からそれるストーリーを見つけても、それもひとつの木の枝葉であるとして、書く内容ではないにも関わらずストーリーを追う。

この「マルコポーロのように行って、見る」と「氷山の下を調べる」の2つの方法を行うことが、強みを使う人の行動の2つ目の特徴である。
彼らが強みを使うときはここまでやる。

一方の能力を使う人はこのように一見関係がなさそうで、時間を無駄に使っているように見えることにチャレンジしない。
彼らは「能力を習得し高める」ことに時間を使い、すぐに効果が表れることをよしとする傾向にある。

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