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4章 - 朝顔は朝に咲く

強みを最大化する3 – できることから行う

強みを最大化させるための3つ目の方法は「できることから行う」ことである。

「できることから行う」というと、なんとも当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれない。
しかし実際には、たとえば仕事などでも私たちは「やらなくてはならない」ことからやっている。
やらなくてはやっているように見えないこと、すらやっている場合もある。

ともあれ「やらなくてはならない」ことのほとんどは、片付ける、処理する、こなす、などという根本的な行動が裏にある。
その心理は「やりたくはないけど、やってしまわなくてはならない」というところにある。

つまり物事は外の世界に存在していて、外の世界から「やらなくてはならない」と決められる。
そして本当は「やりたくない」のだけども、「やらなくてはしょうがない」と理由をつける、という心の状態にある。

この心理があるときには人は(自分では気がついていなくても)責任転嫁を行う。
失敗して誰かを怒らせたときに「謝りたくなくても謝るのが大人の対応だ」とされるのは、この心理の表れである。

「やらなくてはならない」という考え方の世界は、それができない人にとってはもちろん、できる人にとっても大きなストレスを伴う。
「やらなくてはならない」ことがうまくできる人が優秀であるとされるので、たとえば同じ仕事を行う者同士で優劣がつけられる。競争が起こることもよくある。

優劣や競争が生まれると、上位に入る人はごく一部なので、その他の人たちは「やらなくてはならない」ことをうまくできない人という目で見られる。
仕事では特に営業成績を評価する会社にこの傾向が多い。

この世界で頑張ることは疲れる。
疲れるので、この世界を早く抜け出したいと考える人は、「やりたいこと」を行うようになる。
そして「やりたいこと」でも強みを生かすことはできないので、結局二重に失敗する。

ある50代の女性は、会話をすれば「知らずのうちに相手が心を開く」「話している相手の年齢に自分をぴったり当てはめることができる」という強みを持っていた。彼女は最初、営業成績に厳しい会社で上位に入っていた。
営業スキルも十分にあった。
おまけに強みを生かすことのできる仕事であったが、「やらなければならない」仕事であることをわかっており、ストレスも多かったのでその仕事を辞めた。そして「やらなければならない」ことではなく、自分が本当に「やりたいこと」をやろうと考え、独立してアロマセラピーをはじめた。
強みを生かすことを軸に置くのではなく、人を癒したいという「やりたいこと」を優先した。アロマセラピーは人に接する仕事ではあるので、技術力はともかく人と話をする場面では彼女の強みは生かされた。
しかし、アロマセラピーで大切なのは会話ではなく術後の成果だった。
結果、そのアロマセラピーは閉鎖した。

 

がんばることを教えられた人(私たちのほぼ全員)は、「やらなければならない」ことを一生懸命行う。
そしてそれに挫折するか疑問を感じると、「やりたいこと」をやろうとする。

この心の流れは人間心理には適っているが、強みを生かせないという面では共通している。
どちらも「できてしまうこと」を生かすようにはできていない。

「やらなくてはならない」というのは、外の世界から言われてしょうがなくという心の構造がある。
「やりたい」は強みではなく気分を優先しているだけである。

前者の自己啓発や能力開発、後者の幸せな生き方や精神世界が、結局うまく行かない理由はこういったところにある。
強みを生かすためには「できることからやる」という考え方をする。

 

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