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3章 - 木から枝葉が育つ

卓越者の行動3 – 感性を使う卓越者、経験を使う能力者

強みを使う人に共通した「行動」の最後は、「感性を使う」ということである。

意識して使っている人もいれば、ほとんど気がついていない人もいるが、皆一様に感性を使っている。

マルコム・グラッドウェルの著書「第1感」では、ギリシャ彫刻のクーロス像をはじめて見たイタリア人の美術史家フィデリコ・ゼリが、「なぜだかわからないが、彫刻の指先に釘付けになり、爪が変だと感じた」話が紹介されている。
その後、クーロス像は贋作であることが判明した。テニスコーチのヴィク・ブレーデンは、テニスプレーヤーがサーブを2度失敗するダブルフォルトになることが直前にわかったという話を紹介している。
観戦でもテレビでも関係なく、ほとんど100%の確率で当ててしまう。

この本では、このような脳の働きと判断を「適応性無意識」と呼び、心理学での研究分野であるとしている。
適応性無意識は、不必要な情報を捨てて本質的な核となる情報を輪切りにして核心に迫る働きで、たとえばアメリカのカウンセラーの中には、夫婦の会話を聞くだけでその夫婦が離婚するかどうかを判断できる人がいると紹介している。

 

彼らの特徴は強みの発揮に限りなく近い。

心理の流れか、脳の働きであるかはさておき、「第1感」の著者マルコム・グラッドウェルが紹介するような感性を働かせる人は、確実に存在しているということがわかる。

この本では言っていることや内容に注目するのではなく、顔の表情などをはじめとする印象を読むことで「心を読む力」が身につくとしている。
そのために心拍数を平常の状態に維持し、偏狭になる状況を避けたり、訓練によって慣れさせたりすることの重要性も教えている。
しかし、具体的な感性にどのようなものがあるかは教えてくれない。

しかし二人目の偉人がこのことについても道しるべを示してくれた。その代表的なものは直感と感受性である。

直感は「見るようにわかる」という感性で、卓越者の美容師が目の前のお客を2,3秒じっと見ることで、その人の最高の状態を見出す力が直感である。

シリーズ映画の「ファイナル・デスティネーション」では、フランスに修学旅行に行くことになった高校生のアレックスが、飛行機が爆発炎上するリアルな夢を見てその飛行機の機内から空港に逃げ出す。その後を追った教師と友人計6名が結局飛行機の外に出てしまうが、その飛行機は離陸後爆発炎上して夢が現実になってしまう。

少し大げさだが、この映画のこのシーンは直感の好例である。

見るようにわかる(実際には目の前にそんなものはないのに)ことが直感の特徴である。
これは逆に言うと、まずは何かヒントになるものを見なければわからない(美容師の場合はお客)ということだったり、強みにあまり関係しないものは見てわからないということでもある。

感受性は「聴こえるようにわかる」という感性で、何かを見なくても誰かが答えを教えてくれるようなわかり方をする。
たとえば「神の声が聞こえる」「精霊が教えてくれる」というものもあるし、もう少し現実的なものであれば「心の中の自分が正しい答えを教えてくれる」ということもある。

そのように会話的ではない場合もあって、「なんだか知らないけどそう思った」というケースはほとんどが感受性である。

アメリカにペットと会話を交わすことができるペットセラピストがいる。彼女はたとえば目の前の犬が不調を訴えているのか、不満があるのか、何か希望があるのかがわかる。
もちろん犬や猫が話しかけるわけではない。ただわかる。わかってしまう。

そしてペットの希望通りにしてあげるよう飼い主にアドバイスすると、これまでに問題だったことなどがキレイに解決される。

 

テレパシーなどの超能力の類に感じる人もいるかもしれない。
しかし脳の力はまだ判明しないことも多いのだからSFの世界のできごととして切り捨てるのは安易だと思う。

ともあれ、これが感受性の実例である。

ペットセラピストの彼女は実にうまく強みを生かしている。
実際私たちも電話の向こうの相手が「なんだか嫌な感じの人」だとか「ウソ臭い」と感じることがある。
あるいは誰かに見られているという感じがして振り返ると、実際に誰かが見ていたという経験がある人も少なくはないだろう。
つまりはこれが感受性なのだ。

強みを使う人の行動に、「直感」と「感受性」という2つの感性は使われている。
後から理由や理論立てをして、最初から左脳で考えたように記憶をすりかえる人は多いが、強みを使い生かすのなら感性に気がつき、感性に頼ることもひとつの大きな条件になる。

これに対して能力を使う人は、感性ではなく経験を使おうとする。
経験を使うには経験を積まなくてはならないので、キャリアをアップさせようとする。
社会的にはその方が便利かもしれないが、この方法では強みは発揮されない。強みを使う人が注目する行動でもない。


 

強みを使う人の例と、彼らに共通する「価値観」「行動」がそれぞれ3つずつあるということがわかった。

「価値観」や「行動」できてしまうものは、強みを使うことができやすいということだから、これから強みを生かす上でのヒントにしてほしいと思う。

しかし、それでも強みはまだ完璧に機能しているとはいえない。強みを完璧に羽ばたかせるための方法を次の章で見たいと思う。

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