ようするに、オレの体がそんなに強くないということを、妻は最後まで認めようとしなかったんだ。会社が倒産してもあなたは責任感があるだとか、家業で酒屋なんかやっちまったから全部オレがひとりでやらなきゃいけなくなった。思えばあれが寿命を縮めたもんだよ。ちょうどその頃、飲み屋で知り合った子が話を聞いてくれて5年ぐらいかな、オレが生きている間に救われた時期があったとしたらあの子と過ごしたときが一番良かった。
妻は結局最後の最後まで自分は、自分たちはうまくいっているんだと思いたかったんだ。オレのことも子供のことも何も見てなかったのさ。
林が正也にした2回目のインタビューは、死後の正也だった。
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