自分の強みを明らかにする松原靖樹のエスモーズ理論

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お客の声に耳を傾ける ~定性の分析を重視する

こちらは2009年4月30日に掲載されたコラムです。

注:長文です

定量分析というのは、数で示すことのできる分析。

たとえば
「松原靖樹のセミナーを受けたことがありますか」
に対してのYES・NOで集計できる結果のこと。

定性分析は数で示すことのできない分析です。

たとえば
「セミナーで印象に残っていることを教えてください」など、
人によって答えが変わるもの。

ヒアリングで最も重要なのは定性の結果です

定量の結果は、
多数のお客を対象にしているビジネスで「平均化の法則」が働くものに大きく役立ちます。

どうもマーケティング調査というような言葉先行の手法が確立されていて、

すぐにポスシステムとかクロス集計がどうとか言われますが

数字は簡略化と目安を表すものです。絶対条件にはなりません。

ともあれ、中小企業にとっては特に定量が力を発揮しにくい前提があり、かつ

定性分析がとても重要な要素になります。

個別に対応する(ことに近い)物事を売っているからです。

身近な言葉で言えば「ありのままよく耳を傾ける」ということが大切です。

ただし定性の声をもらう場合も、定量の場合と同じルールが働きます。
それが「数の論理」です。

たとえば、
最初の2人が「ブログセミナーは最悪でしたやめた方がいいです」と言ったとして

それが本当に採用されるかどうかは、
その後支持者が2人しかいないか、200人いるかによって変わります。

2対2なら最低でも大幅改善しなくてはならないし、2対200なら誤差は無視するべきです。

多くの人に聞かなければ本当のところはわからない、というのが数の論理です。

個別の声をそれぞれ聞くことが定性分析の前提として必要なので、
最も適した聞き方は対面です。

アンケートによってまとめて聞くというの方法はお勧めできません。

今月の僕の場合は対面からはじめて、グループに聞き、
最後にアンケートを実施してみました。

アンケート実施はテスト的な要素と、
東京以外のお客の声を拾いたかったということの2つの理由があります。

対面、グループで聞く場合に、最初は質問項目を設定せずフリーで聞く方法を、
後半は質問項目に則って聞くという方法を試しました。

聞き方の感触としてはやはり個別にフリーで聞くということが質的に最も優れ、

アンケートでいっしょくたに聞くという方法が量的に最も優れていると感じました。

今日一番大事なポイントに絞っていきますが、それが「何を聞くのか?」ということです。

ビジネスに長けた多くの人のほとんどは、
営業活動とマーケティング活動に関することを聞きます。

これはビジネスとして当然のことなので、否定することではありません。

むしろ積極的に聞くべきことだと思います。

どこから僕のことを知ったか
どのような印象を感じているか   
新いサービスを行うとしたら何をやってほしいか

などということは、ビジネス上必要な質問として僕も聞いています。

しかし、本当に大切な聞くべきことは、自分たちのサービスがどのような成果をもたらしたか、もたらしていないかということです。

セミナー・個別コンサルで最もインパクトが強かったことは何か?

という質問を僕はしています。

基本形は
「今でもあなたの役に立っていること、生かされていることは何ですか?」
と質問することです。

これで何がわかるのかというと、
ずばりサービス提供者の価値がわかるということになります。

私たちが何かビジネスを行うとき、またはサービスを提供するとき、
何かしらの意図を持ってそれを行います。

お客にとっての価値か効用を提供するために活動しています。

その意図がうまく機能しているかを知るためには「聞く」しかありません。

自分自身が価値ある行為を行っているかどうかは、売れているかどうかでは測れません。

直接お客に聞かなければわかりません。
なぜなら、それを決めるのはお客であって自分ではないからです。

お客に聞かずに、自分自身の行いに自身や信念や正義があると言うのは、
防護服なしで伝染病区域に入って「大丈夫だ」と言っているようなものです。

言葉に信頼性がありません。

お客に聞けば、一発で自分の価値が浮き彫りになります。

しかも多くの場合、意図した価値や効用と大きくかけ離れていることがあります。

意図していない価値や効用をお客から示された場合、多くの人は拒絶反応を示します。

「そんなことのためにやっているんじゃない」「そういう人には買ってもらわなくて結構」
という態度になります。

これが予想せずうまく行ったことと、それを拒否する心理状態です。

予想せずうまく行ったことはどのような場合も正しいと知ることです。

自分が意図していたか想像の範疇だったかよりも、
現実に価値が生まれていることの方がはるかに重要です。

ヒアリングすると、この正しさ(予想せずうまく行ったこと)が浮き彫りになります。

意図があったものでも、予想しなかったものでも、

現実に自分がどのような価値を提供しているのかということを知ること
が本来のヒアリングの目的です。

そこに分析はありません。事実・現実を知るという行為だけがあります。

これがビジネスのヒアリングではなく、活動の意味を測るために行うヒアリングです。

このヒアリングは、つい収益面のヒアリングの陰に隠れて軽視されがちです。

しかし、ビジネスは活動の意味を果たすのために行っているのであって、
売上が直接の目的ではありません。

なぜならビジネスにとって売上は制約条件ですが、
どのような価値を生み出しているのかということは決定要因だからです。

何を決定づけているのかということを知らずに売上だけのために活動しているのだとしたら、

結局はお客の声に耳を傾けていないビジネスなので事業が減速していきます。

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