自分の強みを明らかにする松原靖樹のエスモーズ理論

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以前もらったサービス的な質問 ~の、回答をみなさんにも

こちらは2008年9月21日に掲載されたコラムです。

「一人踊るセミナー」カテゴリ。

重いです。真面目です。長いです。論理的です。


【以前頂いたサービス上の質問】

サービスそのものに根本的な問題がある場合
(基本サービスやトータルサービスに問題がある)、

問題の解消は行わなければならないと考えます。

サービスの再構築や再生をしないで当該サービスを提供し続けたら、

顧客から支持を得られず顧客が離れてしまうリスクがあるからです。

こういった場合は、小手先の対応ではなく、

以下の手順を踏んで問題解決を図ることが望ましいと理解しましたが、
私の解釈で相違ないでしょうか?

 1、問題が発生したサービスの提供を停止する 
 2、問題を解消した新しいサービスを構築、定義し、その旨を顧客に周知(告知)する 
 3、新しいサービスを開始する

ただ、この場合、元のサービスとは違った新しいサービスを提供することになります。

同一サービスを提供し続ける義務がある提供者側としては、
この部分をどのように考えればよいでしょうか?


【上の質問に対する松原の回答】

上の対応は「サービスが根本的に誤りである場合」には正しいです。

それ以外のケースは少々異なります。

そのケースで、改善・問題対応に関する部分に絞って書きます。

■ケース1 【セールス、マーケティング上の問題である場合】

サービス上発生した問題を解決するために、サービス内容を変更したり、

お客の声を取り入れることはビジネス上よくあります。

例えば
「こんな内容のセミナーだとはまさか思わなかった。金返せ」
というクレームがあったとします。
この場合、「こんな内容」である原因がサービスにあるか、
それ以外にあるかということはまだわかりません。

「こんな内容」が、実はセールスマンの説明不足によって

お客の理解にズレが生じてしまっていることが原因であるかもしれません。

お客は「サービスが悪い。間違っている」と言うでしょうが
実はセールス上の説明やプレゼンテーションが、
サービスを十分に説明していなかったというケースが考えられます。
(実際によくあります)

このような場合、
サービスを「改善」しようとしたり、「『サービスの』問題を解決」しても、
そもそもの原因が違うところにあるので根本的な問題は解決されません。

同じようなケースとしてセールスではなく、
マーケティングやブランディングの失敗という原因も考えられます。

お客に対して伝えることや、お客への伝わり方、
お客が持つイメージが実際のサービスと異なったり、ズレているとき
お客はサービスを受けてから「こんなはずではなかった。サービスが悪い」と評価します。

マーケティングやブランディングは、ある意味お客に対する「イメージの約束」ですから
それが守られていないと感じれば「ちゃんとしろ」と言います。

しかし現実には、集客や販売、虚栄などの目的によって

「実サービスとは異なるイメージの約束」をしているわけです。

マネジメント上改める必要があるのはサービスではなく、
マーケティング・ブランディングとなります。

よって、サービスを「改善」「問題解決」しようと試みるとマネジメント上
大きな不整合が生まれることになり、問題は解決されません。

つまり

顧客から支持を得られず顧客が離れてしまうリスクがあるからです。

こちらの考え方は提供するサービスと、
提供されるマーケットの特性が合っていないと考えることができるわけです。
(つまりマーケティング上のマッチングミス)

特性の合わないマーケットに応えるためにサービスを改善しても、
そもそもそのマーケットに向けて力強いサービスを提供している他社には敵いません。

「顧客の支持を得て、継続してもらう」ために必要なことは
サービスに合わないマーケットのお客に対して一生懸命になることではなく
そのサービスを必要とするぴったりなマーケットに提供すること
です。

つまり、改善はサービスではなくマーケティングの課題となります。

■ケース2 【クレームの重要度が低い場合】

ある日、クレームが発生したとします。その声に耳を傾けてみると、
どうやら論理的にも正しいとします。

すると翌日、同じクレームが別のお客から入ったとします。
1ヶ月で5件の同じクレームが発生し、お客の言い分は正しいという場合、
私たちはサービスを改善しようとしたり、問題解決しようとします。

しかし、本当にサービスに問題があるのかどうかは、この時点ではわかりません。

なぜならクレームの重要度に対する、数の論理が働くからです。

正当なクレーム5件に対して正当な支持が5件しかない場合、
サービスそのものを見直す必要が生まれます。
「支持してくれない率」が高いからです。

ところが、

正当なクレーム5件に対して正当な支持が5000件ある場合、
クレームは問題に値しない、ということになります。

なぜなら私たちは
自分たちの商品を喜んでくれる人のためにサービス提供している
のであってそうではない人のために活動しているのではないからです。
ここでサービスを改善、問題解決する対象として「犯人」にしてしまうと
これまでそのサービスを喜び、応援し、支持してきた5000人のお客を裏切ることになります。

だからサービスは改善・問題解決してはいけないということになります。

■ケース3 【プロセス・オペレーションを改善する場合】

お客の声に耳を傾けると、「確かにサービス上の不備がある」ということがあります。

しかしそのほとんどは提供するサービスそのものに問題があるのではなく、
サービスを届ける手法や態度に問題がある場合です。

例えば、ファミリーレストランで食事をするときに
「料理がなかなか来ない」だから「イライラする」し、「味も不味い」という
クレームなり声が上がったとき、
問題は「料理がスムーズに運ばれない」ことに問題があるのであって
ファミリーレストランが提供する料理やコンセプトに問題があるわけではありません。

どういうことかというと、
「料理がなかなか来ない」というのはオペレーションの問題です。
オペレーションというのは、サービスの提供方法であって

サービスそのものではありません。だから改善の余地があり、
問題解決することができます。

これを「味も不味い」に注目してしまうとサービスそのものに問題がある
というスタンスになってしまいます。
しかし現実には、仮に「確かにマズ目の食事」ではあっても
それを安く提供するのがファミレスのサービスコンセプトです。

これを
「では高級食材を使ってより美味しい料理に」
としてしまうとファミリーレストランというサービス自体が崩れてしまいます。

だから
「サービスプロセス」は問題視して改善できるが
「サービスそのもの」は問題視も改善もできない

ということになります。

ちなみに
「イライラする」というのはお客の感情の問題です。

お客をイライラさせる原因がプロセスにあるのなら改善する。
お客をイライラさせる原因が提供するサービスそのものにあるのなら
(例えば銀のナイフとフォークが出てこないとか)改善せずに
違う店に行ってもらう、ということになります。

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