18.商売で取り入れるサービス

サービスと商売は、もともと持っているものが少し違う。

サービスが共生するのに対して、商売は競争する。
サービスが効用を基準にするのに対して、商売は価値を高めようとする。
サービスが提供者主体なら、商売はお客主体で、サービスが社会に対して働きかけるのに対して、商売は人に対して働きかける。

サービスを商売に取り入れるときに大切なのは、どの個性のサービスを取り入れれば、商売上うまくいくのかということにつきる。
どのような個性を持つサービスが商売に有利なのかであって、既に扱っているサービスを改善することではない。
実は

結婚生活がこの状態を上手く説明してくれる。

結婚する相手を誰にするかは、おそらく誰にとっても人生の重要な選択である。
相手が誰であるかによって、結婚生活が決まると言っても言い過ぎではないだろう。

ところが結婚した後になって、相手の性格や態度に疑問が生じることがある。
はっきりと不満を感じることだってある。

このようなときに、結婚した相手を変えようとすることで状態を良くしようとしても、なかなかうまくいかないことは、多くの人が経験上知っている。

この方法がうまくいかないのは、それが相手の個性を変えようとする行為だからである。
個性はその人の人生の結晶であって、変えられるものではない。

また、個性を変えるように求めるということは、その人の個性を否定しているということでもある。
相手を否定しながら、自分の思い通りに変えようとしてもうまく行くはずがない。

このような場合は相手を変えるのではなく、コミュニケーションや話し合い、スキンシップ、相手を尊重する態度などで、結婚生活を良くする自助努力、あるいは協力がより必要になる。
お互いを理解しようと努めるか、気にしないようにするしかない。

サービスの場合も、サービスそのものを変えようとするのではなく、商売上のマーケティングや販売促進、セールス、PRなどを駆使して、サービスと商売の関係を良くしなくてはならない。
改善するのはマーケティングと販売方法である。サービスではない。

それでも相性が合わずうまく行かない場合は、離婚をするしかない。
本当に自分に合う新しい相手を探した方が、その後の人生は良くなるに違いない。

商売でサービスがうまく働かなくなった場合は、サービスを改善しようとするのではなく、新しいサービスを取り入れるように働きかける。
改善するのではなく、そのサービスとは一度別れて、提供するサービスを見直す。

今のサービスを改善することができない(正確にはやってもうまくいかない)ように、サービスは

個性を改善することができないように、発展させることはできない。
よく「個性を伸ばす」という言い方があるけれども、実際には個性は伸ばすのではなく、それをうまく使うことのできる場所に当てはめる。
絵の才能があるなら、その才能を発揮してくれる師匠の下で学ぶだろうし、明るくて朗らかな性格なら、対人の仕事が向いているに違いない。

個性が輝く場所で活動すると、個性が生かされる。

サービスもこれと同じで、発展するのではなく、

である。
現在のサービスを、違うマーケットに向けて提供したり、サービスを分解して部分的に販売することで展開することができる。

だから企業が商売でサービスを取り入れるときは、自社のカラーやブランド、次のステップに向けてチャレンジすることなどをトータルで考えて、それを最も生かしてくれる個性を持ったサービスを選ぶ必要がある。



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