05.サービスの本質

サービスの本質、つまり「サービスとは本当は何か?」の答えは3つある。
3つでサービスの全体を説明することができる。

サービスは社会の中でしか活動することができない。
それでいて、サービスは逆に社会を形作っているパーツの一部にもなっている。
社会はサービスによって、サービスは社会の中で活動するという相互関係にある。

だから、サービスは経済活動や政治活動で生まれたり、動いたりするものではない。
経済活動に直接は関わらない公共のサービスやNPOなどもあれば、資本主義でも共産主義でもサービスはちゃんと存在している。

社会の中でサービスは無数の歯車のようなもので、それぞれがうまくかみ合って、それぞれと関係を持ちながら動いている。
「私もサービスを行いたいな」と考えたとしたら、社会活動の歯車の中でうまく回りそうなものを提供する。

だから、提供されるサービスは、提供者によって一方的に決められる。
お客の声を頭に入れることがあるかもしれないが、最終的に「これ」と決めたものは、必ず提供者が一方的に決めるようになっている。
そしてそれがうまく社会の不備解消に役立てば長続きするし、役立たなければ歯車として機能しなくなって消え去ってしまう。

提供するサービスを何にするか決めるとき、それは一方的に決められるのだから決める人の想いが反映されていないと、いくら社会の不備を解消しても長続きしない。
長続きさせようという気持ちにならない。

だから、サービスには提供者のコンセプトが不可欠で、一度「これをサービスとして提供する」と決めてしまったら、あとはコンセプトを現実化するためだけにサービスを提供し続けることになる。
つまりいくら社会に貢献するといっても、提供者にとっては自分のコンセプトを現実のものにする作業がサービスだということになる。

社会貢献するシステム、確実に提供すること、コンセプトを反映する手段の3つは、全てがそろってサービスの条件になる。
そして、それぞれを分解して見てみると、それぞれが働く方向性の違いが見えてくる。
社会貢献するシステムとしてサービスを見てみると、サービスは

ことがわかる。
評価されるということはつまり、他から客観的に見てどうなのか、ということになる。
だから、社会的な不備の解消をしないサービスは、人びとに必要とされないので早々と消えてしまう。

確実に提供することという視点から見てみると、これは社会や人びとにではなく、

ということを意味していることがわかる。
だから、お客は喜ぶかどうかよりも、実は

どうか、というところで実はサービスを評価していることがわかる。

コンセプトを反映するというのは、完全に提供者の視点で、サービスは提供者がコンセプトやこだわり、想い、夢によって作られなければ成り立たないということを示してくれている。
それは、いわば職人のような

のことで、サービスを完璧にすることができるのは提供者しかいということである。

分解したものを集めてみると、サービスが成り立つ条件が見えてくる。
つまりそれは、

の全てを満たす、シンプルな条件である。

それでは、ひとつひとつの要素をもう少し詳しく見ていくことにしよう。



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