01.奉仕の特性 提供と被提供の関係

NPO法人や多くのボランティアが志は立派でもうまく運営することができない原因は、サービスを正しく利用しないことにあります。

日本ではボランティア団体に対する寄付金を運営資金として集めることは、一部の大規模組織を除いて難しく、この問題を解決するためにサービスをうまく活用する必要があります。

このトピックスでは、その考え方の基本をまとめてみました。

ボランティアでは、奉仕を活動の軸にする。
目的は困っている人に対する体系的な手助けにある。

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奉仕は人が人に仕えることであって、売買や交換の関係、利益活動ではない。
しかし、提供の関係ではある。
誰かが誰かに尽くし仕えること、つまり奉仕を提供する。
「提供者と利用者」の関係ではなく「提供者と被提供者」の関係であり、仕える場合と仕えられる場合の関係がある。

サービスでは提供者が提供すると決めたものを、利用者に提供する。
しかしボランティアでは、富める者が貧しい者に奉仕を提供する。

ボランティアはサービス同様に、提供者と被提供者がはっきりとわかれる。
提供する側は提供される側にならず、提供される側が提供することはない。
けれども奉仕やボランティアでの提供は、必ず富める者から貧しい者への提供と決まっている。
ここがサービスとは違う。

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ボランティアの信念に反して、提供の関係は必ず上下関係である。
力の強弱の関係でもある。
金銭が豊富である者がそうでない者に、生きるためのバックグラウンドがしっかりしている者がしっかりしていない者に、障害のない者がある者に、知識のある者が知識のない者に、などという条件を全て含んでいる。

ボランティアの提供者は必ず富める者である。
少なくともそれを提供される者より富める者である。
被提供者は提供される分野において貧しい者である。
これが、ボランティアが成り立つ背景の前提条件になる。

この背景は奉仕の絶対条件で、たとえば飢えにある者は同じ飢えている者に手を差し伸べることはできない。
飢えをボランティアで解決するには、必ず食料を持っている者の力を借りなくてはならない。
または食料を調達できる者や作物を育てる技術を持つ者などの助けを必要とする。どちらも富める者である。

同じ飢えにある2人のうちの片方が食料を得て、それをもう1人に分けたとする。
貧しい者が貧しい者に与えることも世の中にはある。
しかしこれは奉仕ではない。
助け合いである。

サービスでは奉仕に見られる上下の関係、富める者と貧しい者の関係が、提供の関係に反映されない。
サービスは提供すると決めたものを提供するのが特徴で、提供すると決めたものは、必ずしも貧しい者に対して提供するわけではない。

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たとえば洋服の提供は、洋服を持っていない者に提供するわけではない。
むしろ、充分に持っている者に提供することがある。

またはユニフォームとして会社に提供することもある。
その会社がこれまでユニフォームを持っていなかったからといって、貧しい者であるとはいえない。
少なくとも、提供者よりも貧しい者であるとはいえない。

カフェが利用者にコーヒーを提供するとして、利用者はコーヒーの提供を受けるために貧しい者であるともいえない。
サービスは貧しい者に奉仕するという前提を持たない。
貧しい者という対象の前提も、奉仕するという行動の前提もない。

これと異なり、ボランティアは活動の前提に「貧しい者」に「奉仕する」という条件が組み込まれている。
だから奉仕が社会で活動するためには、背景に富める者と貧しい者の関係が必要になる。
貧富の差が激しくない社会、少なくとも飢えや貧困など、生命にかかわる極端な差のない社会では、ボランティアの必要性は低くなる。
しかし、このような社会にでもサービスは必ず必要とされる。



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