工業の発展を利用したサービスは、商売を通じて社会貢献を行うようになった。
そして工業の応用である鉄道を使って、社会の新しい不備を解消した最初の現代サービスが旅行代理店である。
鉄道は大量輸送、スピード化、コスト削減の3つを一気に行った。
これら3つの革新によって便利を提供すると、新しい問題が生み出された。
たとえば、ロンドンで1851年に開かれた第一回万国博覧会では、ホテルが圧倒的に不足した。
このような
――サービスを提供するからこそ生まれる不備――を解消するために、現代サービスとサービス業が生まれた。
現代サービスは、社会的な不備を積極的に解消するために生み出された、社会の知恵だといえる。
「社会的な不備」とはそれまで、「社会を発展させる上で不可欠な不備(顕在的な不備)」という意味だった。
しかし現代サービスが生まれてからは主に
と位置づけされるようになる。
「潜在的な不備」の多くは、新しいサービスによって
のことを指している。
たとえば、レール(とトロッコ)で物を運ぶ方法は、16世紀にドイツの鉱山で生み出された。
鉄道の最初のコンセプトは、原材料や加工品を運ぶという意味で、16世紀の鉱山のレール(とトロッコ)から進歩していない。
つまり、顕在的な不備の解消という意味で、2つは同じ物事である。
実際にイギリスでは、工業都市であるマンチェスターと、貿易港であるリバプールに最初の鉄道が敷かれた。
工業を軸に発展する社会にはその必要性があった。
これが「社会を発展させる上で不可欠な不備(顕在的な不備)」の解消である。
その後、鉄道は人を運ぶようになる。
人を運ぶようになると生じる二次的な不備、例えばホテル不足の問題、三等車に屋根がない、寝台車やトイレがないことによる不備、現地の土地勘が不足していることの不備、などを解決するために、宿泊施設、新車両、地図の提供などの新しいサービスが生み出された。
これが「潜在的な不備」の解消に当たる。
明らかであった不備の解消ではなく、明らかでない不備を解消する必要がある現代サービスは、必然的に
という特徴を持った。
サービスは商売を通じて提供されるようになったことで、このような特徴を備えるようになった。
こうして生まれた現代サービスは、新しい時代において目に見える不備ではなく、多くの人にはまだ見えておらず、知られもしない不備を解消する必要に迫られるようになった。
この現代サービスの特徴をまとめると5つのことがわかる。
第一に、
第二に、
第三に、
第四に、
第五に、
「サービスとは何か?」に答える3つの条件と共に、この時代に5つの特徴を備えた現代サービスが生まれた。
こうして現代サービスは、それまでの「社会の不備を解消する」というコンセプトだけでサービスを生みだすだけでは不十分になってしまった。
サービスの特徴は多様化し、これはある意味でサービスの「個性」と「違い」を促すことにつながる。
この「個性」と「違い」を打ち出すためにコンセプトが必要とされるようになった。
そしてコンセプトを正しく作り、やはり正しい手順でサービスを作ったときに、サービスは社会システムとして貢献し、現代サービスとして機能するようになった。
現在のサービス業で提供されているサービスは、ほとんど全てこの特徴を備えている。
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