02.不備の解消と創造的活動

サービスは社会で機能する。
社会の中でしか機能できない。

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社会の中で機能すると同時に、社会構成を構成する一部分になる。
この意味でサービスは、その前提が最初から社会活動として組み込まれている。

だからサービスは創造的な社会活動であって、破壊的な社会活動であってはならない。
なぜなら、前提としての社会が創造的であり、破壊的ではないからである。

環境問題など、サービス提供の結果として破壊が起こることはある。
けれどもそれは、破壊的な活動を行う目的で行ったわけではない。

創造的活動を行う結果として破壊的な活動が生まれることがある。
それは結果の一部でしかない。
たとえば高度経済成長期に入ると、どの国でも申し合わせたように公害が発生する。
二次的に公害病を引き起こすこともある。

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こういった破壊活動は決して認められることではないけれども、社会機能としてのサービスはこれらの結果に対して、必ずより良い方向に動こうとする。
創造的活動を起こそうとする。

破壊的活動をカバーする、創造的活動としてのサービスが必ず生まれる。
現代サービスの特徴のひとつである、「新たなサービスが新たな不備を生み、それを解消する次のサービスを生みだす」という作用が働く。

現代サービスは

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(不備は必ずしも破壊的活動であるとは限らない)
産業規模が大きく、社会的に必要性の高いサービスであればなおさらそうなる。
大手一社が全てのサービスをカバーするとは物理的に不可能なので、必ず不備が生まれる。
サービスによって作られた不備は、別のサービスによって必ずカバーされるように働く。

よってサービスは、創造的活動と社会貢献に直結している必要がある。
実サービスにでは、その根本であり基準となる「コンセプト」が社会貢献に直結していなくてはならない。

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社会貢献への直結は、各個人に対しての貢献ではない。
結果として個人に対して貢献することはある。
プロセスとして貢献するように動かすこともある。
しかしコンセプトの反映活動は、社会貢献であって利用者への貢献ではない。

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モラルによる善悪は時代によって変わる。
古代に奴隷が主人に対して提供したサービスは、社会を支える決定的な一部分だった。
古代では善として受け入れられていたこのサービスも、現代では悪として受け入れられない。
善悪の概念は時代によって変わるけども、サービスがその時代の社会に対して創造的活動を行い、社会の一部として機能するということは変化しない。
現代ではサービスが多様化したが、それでもサービスが創造的活動を行うという特性は変化していない。
明日も変化しない。

サービスは商売と結びついたことで活動の幅が広がった。
新しいサービスが生まれる条件も多様化した。

技術の発展がサービスと結びつくことによって、サービスの可能性は広がった。
技術を利用、応用したサービス産業は増え、技術を応用した嗜好はさらに多様化した。
サービスにとっては、長い間決まりきった種類で提供されていたものが、現代に入ってほぼ無限に拡張できるようになった。
これはつまり創造的活動がより促進され、社会貢献できるチャンスが増えたことを意味している。
サービスの明日においても、この傾向は継続される。

このように広がった可能性を生かすために、サービスは基本的にどのような形とルールで社会に貢献し、社会を回す歯車になるのかということを知っておく必要がある。

その根本的な前提は「不備の解消」にある。

どのようなサービスも必ずこのルールに従って社会的に機能する。
しかも不備の解消を前提にしたサービスは、社会の

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に作られる。
創造活動を行うのに、実際には不備を解消するというのは矛盾しているように感じるかもしれない。
しかし両者は矛盾しない。両立する。

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不備の解消というのは、各個人の不満の解消とは違う。
同じになることもある。
しかし必ず同じになるわけではない。

いずれにしても個人の不満の解消は重要ではなく、あくまで「社会を発展させる上で不可欠な不備(顕在的な不備)」を解消する作業のことを指す。

「社会を発展させる上で不可欠な不備」を解消することは、社会にとっては創造活動になる。
道路を設置する必要性の高い場所に道路が存在しないことは社会的な不備である。
このような顕在化している不備を解消するサービスを提供することは、創造活動に結びつく。

同じことは潜在的な不備にも当てはまる。
現代サービスの多くは、潜在的な不備に対応する。
たとえば、エスプレッソベースのコーヒー飲料を販売するカフェが存在しなかった時代、誰もそれがないことを不備だとは考えなかった。
しかし現代ではそのようなカフェがなくなってしまうと瞬時に社会的な不備となってしまう。

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宅配の文房具を提供するサービス、ファーストフードを提供するサービスなども同様に、それが存在しない時代には存在しないということが当たり前だった。
このサービスもまた、現代で提供されなくなると社会的な不備になる。

潜在的な不備を解消するサービスは、文字通り未来を創造することで創造活動を行う。
将来から逆算して考えられる不備を解消する。

サービスによってもたらされる社会の不備の解消は、必ず社会の創造活動と直結する。
不備の解消は創造活動と結びつく。

このような視点に立って考えてみると、事業によるサービス提供は質量とも増え続ける。
多様化も続く。
社会の変化に沿って多様化する。
と同時に、奴隷制度というサービスが消えたように、社会の変化によって必要とされなくなったサービスは淘汰され続ける。
人口構造の変化は将来をある程度正しく予想することができる。

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少子高齢化は既にはじまっているけれども、第二次団塊世代が定年退職する2035年から2040年にかけて社会構造が(少子高齢化という意味において)本格的に変化する。
この時代には現在のサービスとは異なる意味のサービスが生まれる。

それに影響を受けて文化、嗜好の変化も影響を受けるため、この社会の変化からも新しいタイプのサービスが生まれる。
既に生まれているものもある。

人材、経理、マーケティングリサーチなどのアウトソースを行うサービスはすでに生まれている。
これは1970年代には存在しなかったサービスである。
現代のサービスは公共サービスのように、自らの事業だけでサービス全体をまかなうことはできない。
本業に集中するために必要な部門はアウトソースする傾向が、人口構造の変化によって促進される。

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その理由のひとつが少子高齢化にある(理由の中には人口構造が関係しないものもある)。
人口減少する社会で、事業活動を行う組織が全部を運営することはできなくなる。と同時に、アウトソース産業の発展によって非効率にもなる。

その他にも、教育に対する取り組み(サービス)は変化を迫られる。
サービス(教育)の質も問われることになるが、例えば閉鎖する大学、短大が生まれる。
すでに都市部でない短大が閉鎖しはじめている。

一方で、新しいコンセプトによって環境適応した新しい学校(大学含む)が生まれる可能性もある。
既に私立大学付属中学は新校舎、新施設、新コンセプトなどの最新設備と構内環境を持ち、いくつか開校している。
アウトソース産業も教育産業も、サービスが人口構造の変化に影響を受けやすい。
いずれの場合も、新しい不備に対応することができないサービスは淘汰される。
そして新しい意味を持つサービスが、潜在的な社会の不備を解消するようになる。

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