お客はハードを五感で感じる。
明確な目的意識があって判断するのではなく、見て、触って、聞いて
判断する。理論で判別するのではなく、
サービスのコンセプトをハードに組み込むためには、そのサービスを提供されるお客側の立場に立って、自分たちが伝えようとするコンセプトが感覚的になんとなく、しかし確実に伝えることができるかどうかを確認し、改善しながら進める必要がある。
その作業を無視して思い入れでハードを作ってしまうと、お客から全く理解されないものができてしまうことがある。
ハードと基本サービスがミスマッチしていると、いくらコンセプトを反映してもサービスが台無しになることがある。
たとえば東京ディズニーランドのパレードを、東京の豊島園や大阪のひらかたパークで行うとどう感じるだろう。
ディズニーランドのパレードは、ディズニーランドのメインコンテンツである。
あれほど派手に、あれほど訓練された、実際の演劇を見ているのかと錯覚するほどのパレードでさえ、ディズニーランド以外の遊園地で感動的に体験することはできないだろう。
ミッキーが、ドナルドが踊って喜ぶことができるのは、シンデレラ城のあるディズニーランドの世界だからこそなのだ。
逆に豊島園やひらかたパークには、それぞれの良さと楽しみがある。
これらの遊園地で楽しむことのできるイベントをディズニーランドで行ったとしても、同じようにうまく行くとは思えない。
リッツ・カールトンやフォーシーズンズ・ホテルは熟練した接客者によってラグジュアリーな気分を楽しませてくれる。
しかしこの接客をビジネスホテルで行っても効果は出ない。むしろミスマッチによってお客は違和感を覚えるだろう。
出張サラリーマンに好評のビジネスホテル東横インでは、朝食におにぎりが出る。このおにぎりは厨房のおばさんが作ってくれた、でき立てのほやほやである。
朝から元気よくこのでき立てほやほやのおにぎりが振舞われる。
同じ接客をラグジュアリーホテルで提供したとき、私たちは何かミスマッチを感じてしまう。
この、
さらに、マーケティングをダメにし、販売促進を行わなくては集客できない状態を作ってしまう。
運良く集客できても、お客は違和感を感じているので事業主はお客離れが起きないように接客を駆使していろいろと工夫を凝らさなくてはならなくなってしまう。
こうなってしまうと、基本サービスや接客でいくら努力をしても、お客の信用を取り戻すことは難しくなる。
むしろ、努力すればするほどミスマッチが浮き彫りになってお客離れが進み、サービスがダメになってしまう。
このような法則があるので、コンセプトをハードに反映することは、基本サービス、しくみ、接客よりも先に優先して行う。
しかも、ハードの構築はサービス提供前に全てできあがるので、
という特徴もある。
サービスを構築する4つの作業の中で、変更が最も難しいという特徴も、ハードが優先される理由となる。
ハードは誰の目にも明らかに見え、聞こえ、感じ、時に匂う。
高級料理店には高級料理店のハードがある。
焼鳥屋には焼鳥屋の、ラーメン屋はラーメン屋のコンセプトにマッチしたハードがある。
実際に街で特徴を見ればわかる。
ディズニーランドはディズニーランドの、スターバックスはスターバックスの、セブンイレブンにはセブンイレブンのコンセプトマッチした統一感のあるハードがある。
前者が基本コンセプトを反映したハードで、後者が個別コンセプトを組み込んだハードである。
ハードを作るとき、私たちはコンセプトがハードに反映されるかどうか(サービス提供者のこだわり)と共に、そのハードがサービスの全体像とうまくマッチしているかどうか(お客がどう感じるかということ)に気を配る必要がある。
ぴったりとマッチしていれば、お客がそれをどのように「感じる」のかというところを想定して、修正や改善を加えることで完全に近づくことができる。
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