それはあくまで表面上の意見でしかない。
マーケティングを行うとき、私たちは心理学者やベテランのカウンセラーのように、相手の奥底に眠っているものを読まなくてはならない。
でなければ表面上のニーズに応えるサービスを用意してしまい、いざ新サービスがスタートしても思ったほど支持されないという状態になりかねない。
お客は遠慮や人間関係を気にする心理から本心とは違うことを話してしまったり、無難なことを話すことがある。本当に思っていることよりも少なめに話すこともある。むしろ言わないこともある。
何かをよく伝えてくれる人でも、よく聞いてみるとサービスとは関係のない話をしていることもある。
問題指向の人は取るに足りない問題をあげつらうこともある。
こういったことは全て表面上のニーズだ。
表面上のニーズの奥を覗いたときはじめて、本当に訴えかけていることが浮かび上がってくる。
マーケティングは、
で行う。
お客イコール神様のスタンスで行う。お客の声を天の声として扱う。
神様の言葉が時々抽象的であるように、お客の声もあいまいなことがあるので、それを正しく読むように心がける。
そのためには、
になる。
ただ、量はインターネットでほとんど得ることができるので、できるのであれば現場の空気や声を身近に感じることのできるお客の声がほしい。
「スターバックス成功物語」には、お客の声に応えノンファットミルクを取り入れようとするハワード・ビーハーが、ある男性社員に(コーヒーの味を損なうとして)すごい剣幕で詰め寄られる場面がある。
「あなたが今やろうとしていることは、われわれのコーヒーの質を守ることにはならない。むしろ、品質を損なうことになる。このままでは、顧客の望むことなら何でもやるということになってしまう」。
「君は、どうかしているんじゃないのか」。ハワードは自分がこう答えたことを今でも覚えている。「もちろん、顧客の望むことなら何でもやるよ」。
この姿勢はサービスのあるべき姿だとよく誤解されるが、これこそマーケティングのあるべき姿である。
顧客こそが至上であって、顧客の意見に応えることがマーケティングの使命である。
取り違えてはいけないのは、このような行為はお客を喜ばせるために行うのではない、ということで、あくまでお客の求めるものに応えるために行うということがポイントである。
マーケティングが100%お客中心で行うのに対して、サービスは
で行う。
上のスターバックスの例でいうなら、ハワード・ビーハーに詰め寄った男性こそ、サービスマンの鑑であると言ってもいい。
サービスは本質的に、サービス提供者が何を提供するかを一方的に決める。
お客の声に応えるにしろ、応えないにしろ、提供するものを決める時は提供者が一方的に決定する。
しかもサービスは、サービス提供者からお客に向かって一方的に提供される。
逆の流れはない。
この一方的な特徴を持つサービスだからこそ、そのサービスが
でなくてはならない。
だからスターバックスの男性社員は、お客の意見を取り入れるかどうかよりも、コーヒーの品質(つまりサービス)を守るために最善と思われることを行った。
それがノンファットミルクを導入しない方針だった。
この意味で彼こそがサービスマンのお手本であることがわかる。
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