01.サービス提供を増やす量の展開

基本サービスが改良や改善を重ね、より良いサービスになることはない。
あるとすればそれはプロセスであるしくみと接客の改善(つまりサービスを手渡す方法の改善)であって、基本サービスの改善ではない。

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もし本当により良くなるサービスが存在するとしたら、1年前にそのサービスを利用した人と、1年後に利用する人の間に差ができてしまう。
差ができるということは、もはやそれは同じサービスではないということで、違うサービスを提供していることになってしまう。

違うサービスを提供するということは、1年前のサービスはもう存在しないということであって、今提供しているのは1年前のサービスではないということになる。
同じ約束をして違うサービスを提供していることになってしまう。

基本サービスはその特性が、画一的で統一的であるようにできている。
決まりきったものであって、提供すると決めたものを正しく提供し、それを約束する。
だから発展することができない。
けれども、画一的で統一的なものを応用して展開することはできる。

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サービスの展開には、サービス提供を増やす量の展開、他のサービスとの組み合わせによって新しい意味を生み出す質の展開、既にあるサービスを分解し提供することで新しい意味を生み出す質の展開、接客を高めることによるブランドの展開の4つがある。
ブランドの展開というのは、お客の心理に対する展開のことを指す。

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量の展開というのは提供の数を増やすことである。

支店を増やし、インターネットで展開するなどして提供量は増える。
ビジネスではこれをマーケットの拡大とか、売上げの増大と考えるけれども、サービスでは扱っているサービスが必要な人が利用できるようにすることを目的にして展開を行う。
お客が求めているので提供できるように努力する、という考え方がサービスの展開になる。

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サービス提供量が増えるに従って、

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が必要になる。
規模が大きくなるにしたがって、しくみは緻密になり効果を重視して、接客は反比例して自由度が下がる。

しくみの改善は規模が大きくなることによる混乱や流通、在庫管理、商品の品質などを含めたトータルサービスを行うのに必要不可欠であって、接客の改善は人数が増えるにしたがってサービス提供に個人差が出ることを防ぐために改善される。

小規模のままのサービスであれば、コンセプトを定めて、実行動を行う1人か2人がこだわりを徹底すれば、あとは自由に臨機応変に対応することがでる。
同じサービス、確実な信頼を提供することができる。
しかし規模が大きくなると共に、1人や2人で管理することができていた品質、在庫、流通、接客者教育、仕入れ、コンセプトの検証などが難しくなる。
ある規模を超えると、難しいだけではなく不可能になってしまう。

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この新しく生まれる不備を、しくみによってカバーする。
しくみや接客の改善が計画されていないと、サービスの量を拡大しても問題対応に追われることになる。

多くの場合、規模が大きくなると接客者の人数が増える。
新しく増えた新人や、新しく拡張したサービスを受け持つベテランも、しくみを尊重して守ることで規模の拡大に挑むようにする。
それぞれの接客者が、自分が正しいと思う接客を正しいと思うように行ってしまうと、サービスは統一性を失って混乱する。
1号店と2号店で、あるいは実店舗とインターネットで、同じ約束の下に違うサービスを提供してしまうことになる。

量の展開を行う場合は、サービスを均一化できるようにしくみに従って展開する。
しくみに不備がある場合は改善する。
しくみによるトータルサービスのカバーと、接客者がしくみを尊重し守ることの2つを満たせば、サービスは規模による量の展開が可能になる。

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ただしどのようにしくみと接客を改善する場合も、現在扱っているサービスと同じもの、同じ約束を展開するようにする。
なぜなら、第一に

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ということと、第二にそれが

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だからである。

ある会社では創業3年目に関西地区へのサービス展開を行った。
最初、身近なお客が存在しなかったので、マーケット(お客たち)全般を調べることにした。
すると、マーケットは首都圏の10分の1規模で、外資企業の本社はもちろん支店も少なく、顧客は首都圏に比べて少ないという結果が出た。
一般的に言われている大阪の人の財布が固いなどということも考慮に入れた。
けれどもそれではお客の声に耳を傾けたことにはならなかった。

そこで、既に小規模ながらこの会社と同じモデルを取り入れて活動している他の会社をよく調べ、そのうちの数社に声をかけ、うち一社に会ってもらうことにした。

最悪、この会社のデータや実績と経験した情報などと引き換えに、関西圏のお客の声を知ることを目標にした。
しかし実際には、この会社のサービス実績と経験を相手方に提供することで、その会社の社長にこちらの事業に参加してもらい、新しく展開する大阪オフィスの責任者になってもらうことを可能にした。
話はうまくまとまって、既に関西のお客の声をよく知っているその人をリーダーとして新しくオフィスを構え、サービスをうまく展開させることができた。



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