まず、物事の順番がある。
マーケティングによってお客の声に耳を傾けることからはじまり、それを満たすサービスが用意されるのなら、マーケティングとサービスはお互いを補ってうまく働いてくれる。
この順番を逆にしてしまうと、サービスの不備をマーケティング(お客の声)によって探し出すことになるので、サービスとマーケティングは対立してしまう。
お客の声によって作られたサービスは、既にマーケティングが完了しているのだから、変化させる必要は基本的にない。
大多数に支持されているからである。
しかしそうはいっても、サービスをスタートした後になって、スターバックスのノンファットミルクのように予想しなかったことをお客が望むことがある。
こういうときに新しいお客の声を取り入れると、それまでのサービスが台無しになるとしたら、お客の声を取り入れてはならない。
サービスも、これまでサービスを継続することによって作られたブランドも、一気に崩れてしまう可能性がある。
このような場合は、ノンファットミルクの導入を新サービスと捉え、その上でこだわりを持って提供できるのなら提供するという方法を取るようにする。
この方法で、これまでのコーヒーの味は守られ、新サービスもお客の声に応えるだけではなく、緻密に考えられて提供されるようになる。
それからお客の声に耳を傾ける上で大切なことは、多くのお客が望んでいるのかどうかということであることを覚えておきたい。
ということは、一人のお客の強いクレームに応える形でサービスを変えたり、新しいサービスを作ったりしてはならないということになる。
それは、マーケティングによって顧客の声に耳を傾けたのではなく、ただ単にクレームのプレッシャーに屈しただけである。
サービスはクレームのプレッシャーに屈して変わるものではないし、マーケティングはクレームのプレッシャーをお客の声とは認めない。
このようなことに気をつければ、マーケティングとサービスは対立せずに両立する。
矛盾の語源となった矛と盾を突き合わせることなく、両方を装備して戦いに挑むことができるようになる。
サービスがスタートすると、ひとまずマーケティングの役割は終わる。
サービスを的確に知ってもらうための宣伝広告やPRなどを行うことはあるかもしれないが、顧客の声に耳を傾ける行為はひとまず終わる。
顧客の声に耳を傾ける必要性が復活するのは、サービスに特別客が生まれはじめた頃からである。
サービスのことをよく理解してくれ、支持してくれ、利用してくれるお客のことを特別客というが、事業では特別客が生まれはじめるとサービスの形が整ってきたと考えることができる。
この頃にお客の声に耳を傾けるのは、2つの意味がある。
ひとつは特別客をピラミッドの中心とするお客が、
という理由。
もうひとつは、形の整った
という理由である。
つまり、サービスの内側でも外側でも、お客の声が変わってしまっている可能性が生まれているので、それをよく聞いて読みましょう、必要があれば新サービスを生み出し、広告やPRの方法を変えましょう、ということである。
お客の声に耳を傾けることは以前よりも難しくはない。
既にサービスを利用している既存客には電話とメールで1人1人に声がけをする。
この方法はもちろん規模にもよるが、顧客数が1万人以内であれば可能な方法で、かつ直に声を耳にすることができるので価値がある。
電話やメールで連絡することはあらかじめメールマガジンや会報などで知らせておくとレスポンスが高まる。
アンケート調査という方法は一万人を越えると有効だが、お客の声を「読む」作業に力を入れなくてはならなくなる。
まだサービスを利用していない見込み客の声を聞くには、サービスをはじめる前の方法と同じくネットから情報を集めるのもいいし、声を集めるためのサイトがまだ稼動していればそこに集まる声の変化に注目すればいい。
サイトがなければこの機会に作ってしまうという方法もある。
あるいは、購入を迷っているがとりあえず説明を聞きに来たというお客を目の前にして、直接聞いてみるという方法も効果がある。
初期にお客の声に耳を傾けていた頃と違うのは、自社のサービスについて現在どのように感じて、見ているかということにも注目するということで、その声に耳を傾けるための質問なども最初から考えておくようにしたい。
サービス作りの方法は次のトピックスで見ていくとして、ここではマーケティングされたサービスによって売上と顧客満足を満たすことができたという事実に注目してほしいと思う。
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